NBAドラフト2020:タイリース・マキシー恐るべし

遂に今年もカレッジシーズンが開幕。初日から目が離せない試合が目白押しの中、今日最も注目すべきカードはChampions Classicのミシガン州立大(MSU)対ケンタッキー大(UK)戦。

シーズン開幕前のプレシーズンランキングではMSUが全米1位でUKが2位。開幕初日から、いきなりシーズンの行方を占う大一番となった。昨季Final4進出を果たしたMSUに下級生主体のUKが挑むという構図の試合になると思われたが、試合を優位に進めたのはUK。MSUもカレッジNO1プレーヤー、カシアス・ウィンストンを中心に猛追を図るが、UKを捕まえる事は出来ず。

終始リードを奪ったUKが69-62で激戦に勝利。UK勝利の立役者となったのはフレッシュマンガード、タイリース・マキシーだった。

終盤に恐ろしいまでの落ち着きを見せたマキシー


この試合の主役はUKのフレッシュマンガード、タイリース・マキシー。電光石火のクイックネスとレンジの広いアウトサイドシュートを持ち、即戦力として前評判も高いガードだ。

圧巻だったのは試合終盤の勝負所でのプレー。オフェンスでは圧倒的なスピードを武器にドライブから容易に得点を重ね、ディフェンスでは速攻に繋がるスティールを奪取。試合時間残り1分の緊迫した場面では、3PTラインのはるか後方からシュートを沈め、試合を決定づけた。

マキシーはこの試合でゲームハイの26得点に加え5リバウンドを記録。スタッツ以上に驚きだったのは彼の落ち着き払ったプレー。全米中の注目が集まる試合で、飄々と得意なプレーで効果的に得点を上げる様はフレッシュマンとは思えないものだった。

2020年のドラフトで1位指名の有力候補とされるメンフィス大のジェームス・ワイズマンやジョージアの大アンソニー・エドワーズも上々のデビューを見せたが、今日一番の衝撃的なデビューを飾ったのはマキシーで間違いないだろう。自分の出来るプレー、すべきプレーが分かっているという点では、今年NBA入りしたルーキーのコビー・ホワイトに通ずるものを感じる。今日の様な精度でドライブからのフローターが決まれば、カレッジレベルでは止める事は難しいだろう。

マキシーの他ではイマニュエル・クイックリーが10得点2スティール、アシュトン・ヘイガンスが11得点を獲得。ディフェンスでもMSUのウィンストンにプレッシャーを掛け続け、UK自慢のガードトリオが機能し、カレッジNO1ガードのウィンストンを凌駕した試合だった。

ウィンストンを中心に粘るも一歩及ばず

この試合、常にUKを追いかける展開だったMSU。後半残り10分の場面ではUKのネイト・セスティナに3PTを決められると点差は13点まで開き、万事休すと思われた。しかし、絶対的司令塔のカシアス・ウィンストンが徹底マークを受ける中、サポーティングキャストが奮起し、ウィンストンがファールトラブルでベンチに退く中、UKを粘り強く追走。残り1分27秒にはウィンストンがバスケットカウントを奪い、60-62の2点差まで迫った。

上級生の意地を見せたMSUだったが続くUKのオフェンスでマキシーにビッグプレーを決められ、そこで試合が決まってしまった。ウィンストンにディフェンスの注意が集中する中、良い形で3PTまでは繋げるも、成功率が19.2%と全く当たりが来なかった。過去3シーズン全てで3PT成功率が4割上回ったシューターのジョシュア・ラングフォードが怪我で不在でなければ、状況は変わっていただろう。

ウィンストンは21得点4アシストと気を吐くも、3PTの確率は1/7と不発。ウィンストンの他に2桁得点は不在でチームメイトからの援護射撃が得られなかったことも響いた。

ウィンストンと並びスターティングガードを務めたフレッシュマンのロケット・ワッツは0得点3TO。終盤にはUKの速攻に繋がるTOも犯し、マキシーとは対照的にほろ苦いデビュー戦となった。

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