NBAドラフト2020:それでも僕はジェームズ・ワイズマンをドラ1に推す

NCAAトーナメントが控える中、6月のドラフトに向け少しずつドラフトの輪郭がハッキリとしてきています。現状では、ジョージア大のフレッシュマン、アンソニー・エドワーズが1位指名の有力候補と目されています。

しかしながら、僕の1位指名の鉄板はメンフィス大のフレッシュマン、ジェームズ・ワイズマン。

大学入学前の金銭受取の問題により、NCAAのアマチュア規定に抵触。出場停止処分を受け、その処分期間中に大学を去る決断をした為、結局彼のカレッジでのキャリアは僅か3試合で終わりを迎えてしまいました。

それでも、その3試合でワイズマンが他を寄せ付けないポテンシャルを見せつけた事実は揺るぎません。まだ素材型の選手ですが、将来オールスターに成長するだけの素質を有する選手である事に疑いの余地はないでしょう。


プロフィール

氏名ジェームズ・ワイズマン
カレッジメンフィス大
学年フレッシュマン
生年月日2001年3月31日
ESPN
ランキング
1位(2019)
ポジションC
出身校メンフィスイーストハイスクール
(メンフィス州)
主な個人賞
ゲータレード最優秀選手賞(2019)
モーガン・ウッテン賞(2019)
マクドナルドオールアメリカン(2019)
ジョーダンブランドクラシック(2019)
フープサミット(2019)
特記事項AAU、高校、カレッジと全てでペニーの下でプレーしたペニーの秘蔵っ子。
長所・圧倒的なサイズとウイングスパン
・ガードの様な機動力とクイックネス
・シュートタッチはよく、オフェンスも伸びしろが大きい
懸念事項・フィジカルコンタクト
・オフェンススキルはブラッシュアップが必要

身体測定結果比較

靴有身長(cm)裸足身長(cm)体重(kg)ウイングスパン(cm)スタンディング
リーチ(cm)
備考
ジェームズ・ワイズマン214.6212.1104.8228.6283.22018年USA代表候補キャンプでの数値
C平均211.8208.4110.1222.7280.32015~2019年のコンバイン平均

スタッツ

出場時間(分)FG%3PT%FT%OFF RebDEF RebREB
2376.90.070.44.36.310.7
ASTBLKSTLPFTOPTS
0.330.31.7119.7

アドバンスドスタッツ

USG%OFF RTGDEF RTG+/-TS%OFF REB%
28.70%149.680.169.5077.90%23.90%
DEF REB%REB%AST%STL%BLK%TO%
29.10%26.80%4.40%0.80%13.60%7.30%

ハイライト

学年No1の評価を受けたビッグマン

カレッジの公式戦で僅か3試合しかプレーしなかった事による実績不足が懸念事項とされるワイズマンですが、高校までの実績は超一流。

ジュニア(日本の高2相当)のシーズンからは、後にメンフィス大のヘッドコーチとなるペニーがヘッドコーチを務めていたメンフィスイーストハイスクールに転校。ワイズマンはAAU、高校、カレッジとペニーの指導を受けてきた"ペニーの秘蔵っ子"と呼べる選手です。

マクドナルドオールアメリカンを始めとした高校バスケ界の3大オールスターゲームに出場し、高校時代に輝かしい実績を残したワイズマンですが、中でも最も注目すべきはゲータレード賞の受賞でしょう。

アメリカ高校バスケで最優秀の選手に贈られるこの賞は、過去にコービー・ブライアントレブロン・ジェームズドワイト・ハワードといったスーパースター達が受賞してきた栄誉ある賞。

近年の受賞者にもベン・シモンズジェイソン・テイタムマイケル・ポーターJrとNBAのスター候補が並びます。

カレッジでの実績こそ乏しいワイズマンですが、高校までの経歴には文句の付け様がありません。下級生の頃から注目を浴び続け、これ程の経歴を残してきたワイズマンに実績不足を懸念する必要はないでしょう。

NBAの中でも恵まれたフィジカル

誰の目にも明らかなのが、ジェームズ・ワイズマンが身体的に秀でたビッグマンであるということ。

2018年のUSA代表合宿での身体測定結果は身長、ウイングスパン、スタンディングリーチの全てで2015-2019のドラフトコンバインでのセンターの身体測定結果を上回ります。

計測当時ワイズマンは17歳。現在は更に身長やウイングスパンが伸びていても不思議では有りません。

靴有身長(cm)裸足身長(cm)体重(kg)ウイングスパン(cm)スタンディング
リーチ(cm)
備考
ジェームズ・ワイズマン214.6212.1104.8228.6283.22018年USA代表候補キャンプでの数値
ミッチェル・ロビンソン215.9213.4101.2223.5281.92017年USA代表候補キャンプでの数値

ワイズマンの身体測定結果は、ウイングスパン、スタンディングリーチ共にディフェンスで大きなインパクトを残しているNBAの若手センター、ミッチェル・ロビンソンを上回ります。

ワイズマンと同等のサイズを持つビッグマンは、ジャレン・ジャクソンJr(ウイングスパン=226.7cm/スタンディングリーチ=279.4cm)、トーマス・ブライアント(ウイングスパン=228.6cm/スタンディングリーチ=285.8cm)、ドワイト・ハワード(ウイングスパン=224.8cm/スタンディングリーチ=283.2cm)辺りでしょうか?(※数字は全てドラフトコンバイン時。)

恵まれたフィジカルと高い機動力から、NBAレベルでもディフェンスで優れたビッグマンに成長することが期待出来ます。

オフェンスでも優れたフィニッシャーに

現時点では素材型のワイズマン。

機動力とクイックネスはビッグマンとしては並外れており、オフェンスのポゼッションの大半はオフェンスリバウンドからのプットバックと速攻が占めます。

また、肩の可動域が広くキャッチングも抜群。

オフェンススキルは未熟ですがフィニッシャーとしては既に優れたビッグマンです。

カレッジの3試合では3PTシュートを1本も放っていませんが、高校時代は1対1からのプルアップでの3PTも見せており、決して3PTを打てない訳ではありません。(打たない方が得点効率は良さそうですが...)

時折見せるターンアラウンドジャンパーは打点も高くスムース。このシュートを安定して決められる様になれば、NBAでも通用するオフェンスパターンとなるでしょう。

今後数年はスター候補のビッグマンが不作

ビッグマンの存在価値が薄れているとは言え、7フッターのサイズと優れた運動能力を持つビッグマンはいつの時代も希少。

2018年はビッグマンが豊作でしたが、今後数年はドラフトの目玉となる様なビッグマンになる選手は限られれるでしょう。

今の所で候補となるのはclass of 2020のエバン・モーブリーとclass of 2022のジェイレン・デューレン辺りでしょうか。

ビッグマンの希少性という点からも、僕はワイズマンを1位指名に推しています。

class of 2020のエバン・モーブリー


class of 2022のジェイレン・デューレン

今年のドラフトは大本命不在

大本命が不在と言われる今年のドラフト。1位指名候補としてはアンソニー・エドワーズやラメロ・ボールの名前も挙がります。

勿論、ラメロとエドワーズも魅力的な候補ですが、1位指名となると少し物足りない気も。

近年のスモールボール、スキルボールのトレンドにより、攻守にインサイドに張り付く古典的なビッグマンの価値は落ちていますが、インサイドでの圧倒的なサイズ、ガードをもカバーできるクイックネスを持つワイズマンは決して古典的なビッグマンではありません。

彼の真価を見誤らない為には、"7フッターのサイズ"よりも"複数ポジションをカバー出来るクイックネスと機動力"に目を向けた方が良いでしょう。

ドラフトのスケジュールが不透明ではありますが、例年とは勝手が異なる今年のドラフトだからこそ、高さと機動力という確固たる魅力を持つワイズマンが最終的には1位指名に収まると予想します。