八村塁の世界選手権得点王を再考する。

(fiba.com)

今年からアメリカカレッジバスケの強豪ゴンザガ大でプレーする日本人選手八村塁。
NCAAディビジョン1でのプレーはジョージワシントン大の渡邊雄太に次ぐ快挙。

そんな八村が世界的に知られるきっかけとなったのが2014年のU-17世界選手権。
その大会で得点王を獲得した八村は翌年のジョーダンブランドクラシックに世界選抜チームの1員として出場。
それらの活躍が彼のアメリカのスカウトから注目を集めた要因であることは間違いない。

彼の飛躍の足がかりとなった世界選手権での得点王獲得。
この数字を改めて見直してみたい。




世界選手権でのスタッツ

この大会での八村は平均22.6得点FG39.4%3PT25%FT64.3%。
またFG試投数22.1本も大会1位。
平均試投数2位のAmine Noua(フランス)が1試合平均15.0本だったのでその数はブッチギリ。
日本のチーム全体のFG試投数が74.6本だったので、実にチーム全体の約3割のシュートを八村が放った計算になる。

平均得点2位のYanhao ZHAO(中国)は平均21.6得点FG44.6%3PT39.3%FT81.3と高確率のシュート成功率を記録。
彼の平均FG試投数14.4本はチームのシュート数全体の約22.3%だった。

ちなみに今年大学に入学したclass of 2016のNO1プレーヤー、デューク大のハリー・ジャイルズもアメリカ代表としてこの大会に出場。
1試合平均19.6分の出場で平均10.9得点。
FG59.3%は大会で1位の成功率だった。

39.4%という八村のシュート成功率は決して高いものではない。
しかし、シュート成功率が良いとは言えなかった八村がチームの3割ものシュートを放たなければならなかったのは、彼以外のシュートを放てるプレーヤーがいなかったというチーム事情から。

八村以外の選手のスタッツは

八村は1試合当たり8.7本のFGを成功。
チーム全体の1試合平均FG成功数は23.9本。
八村の成功数を抜くと僅か15.2本。
八村は1人でチーム全体の36.4%ものシュートを成功させた。

八村に次ぐ平均得点を記録したのは平均10.3得点の牧隼人(筑波大)。
それに次ぐのは八村と同じく明成高校に所属していた納見悠仁(青学大)の平均6.0点。
FG成功率で見ても、チーム平均は32.0%。
1試合平均1本以上のシュートを放った選手の中では八村の39.4%が最高。

世界の高さを前に日本代表のシュートは低調に終わり、成功率は大会参加16チーム中15位。
ディフェンスの以内FTでも成功率は全体14位とシュート決定力の低さを露呈した。

世界に通用する選手の育成が急務

何故今回世界選手権の八村のスタッツを見直したかと言うと、この大会での彼の得点王獲得に対し、“八村にボールを集めたから”という意見をよく目にするからだ。
しかし、チーム全体のスタッツを見ると、八村にボールを集めた、という表現よりも“八村以外に世界に通用する選手がいなかった”という表現が適格に思える。

むしろ、八村にマークが集中する中、得点を稼ぎ続けた彼の実力は世界クラス。
その後のジョーダンブランドクラシックで活躍したことからも、その事実は間違いない。

Bリーグが開幕し、東京五輪に向けた代表強化が叫ばれるが、現実は高校生時点で世界とは大きな溝を開けられてしまっている。
渡邊、八村と偶発的に世界に通用する2m級の選手が続けざまに現れたが、それだけでは世界には及ばない。

今夏アジア選手権を勝ち抜き来年のU-19世界選手権への切符を掴んだ日本代表。
そのメンバーの中から東京五輪の日本代表が何名も出るとは考え難いが、U-19世界選手権は日本のバスケ道筋を探る上でも絶好の機会。

東京五輪を前に、1人でも多く世界に通用する選手を育成することが急務。


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