NBAドラフト2021:個性際立つフレッシュマンガードから目が離せない
早いもので既に2021年に入ったので、今年もボチボチドラフトネタを。私的に2021年のドラフトは近年で一番の豊作と言い続けてきたけれど、その輪郭は少しずつ変わってきているかなと。
デューク大のジェイレン・ジョンソンやケンタッキー大のBJ・ボストン等、シーズン前にドラフト上位指名の期待を受けたウイングが苦戦する中、オクラホマ州立大のケイド・カニングハムやゴンザガ大のジェイレン・サッグス等のポイントガードが安定した活躍を見せ、その評価を高めています。
ポイントガード陣は単に活躍しているだけでなく、キャラ立ちしている個性派揃い。昨年は上級生ポイントガードが豊富でしたが、今年もポイントガードが面白そうです。
例のごとくカレッジでの公式ハイライトが無い場合は高校時代のハイライトですがご了承を。スタッツは現地時間2021年1月13日の数字です。
ケイド・カニングハム
大学:オクラホマ州立大
学年:フレッシュマン
ポジション:PG
登録身長:6フィート8インチ(203.2cm)
スタッツ:33.8分17.8得点6.2リバウンド3.8アシスト1.2スティール1.0ブロック3.5TOFG45.6%3PT38.8%FT81.7%
ハイライト
完成された大型ガードのカニングハム
オクラホマ州立大のケイド・カニングハムは、高校時代からガードとしてプレーし、この世代の大型ガードとは思えない完成度。
オフェンスではゲームコントロールに優れ、サイズやフィジカルの利を活かしたドライブや3PTもお手の物。ディフェンスでもサイズのアドバンテージを駆使し、PFを守る事も出来れば、クイックなスモールガードもシャットアウト。
クイックネスなど、点で見れば欠けている所はありますが、オールラウンドなスキル、世代別USA代表で世界制覇を経験している高い経験値など、総合力に優れ小さな弱点は全く気になりません。フレッシュマンとは思えない老獪なゲームコントロールは、カレッジ全体で見ても群を抜きます。
昨季のカンファレンスゲームでは成績7勝11敗と負け越したオクラホマ州立大ですが、今季はここまで6試合で3勝3敗とイーブン。過去のスキャンダルの影響で、今季はどんなに良い成績を残してもNCAAトーナメントへの出場は叶いませんが、強豪ひしめくカンファレンスでの健闘はドラフト評価の上でもプラス。
ここまでの活躍を継続出来れば、2021年のNBAドラフトで上位5位以内では指名をされるでしょう。
ジェイレン・サッグス
大学:ゴンザガ大
学年:フレッシュマン
ポジション:PG
登録身長:6フィート4インチ(193cm)
スタッツ:26.5分13.8得点5.1リバウンド5.1アシスト2.6スティール0.5ブロック2.6TOFG53.7%3PT40.6%FT65.7%
ハイライト
二刀流のアスリート系ガード
高校時代はアメリカンフットボールのQBとしても活躍し、バスケットボールとの二刀流の活躍が評価され、高校シニアではMax Prep選出の年間最優秀アスリートにも選ばれたジェイレン・サッグス。元NBAプレーヤーのエディー・ジョーンズや、NFLで活躍したテレル・サッグスと親戚というアスリート血統の生まれです。
高校時代から世代別USA代表の常連で、U16アメリカ選手権、U17ワールドカップ、U19ワールドカップで優勝を経験しているエリートプレーヤーでしたが、カレッジNo1の選手層を誇るゴンザガ大で期待以上の活躍を見せたことで、一躍2021年のドラフト1位指名候補に駆け上がりました。
アメフトでの経験はコート上でも発揮され、定規で測った様な正確なロングパスは元QB故でしょう。視野の広さだけでなく、距離感に優れた奥行きのあるパスはサッグスの魅力。運動能力に優れ、電光石火のクイックネスを駆使しディフェンスでも2.6スティールと存在感は絶大です。
FT成功率の低さからアウトサイドシュートはどうかな?とも見えますが、そこは実際にNBAでやってみない事には何とも言えないかな。シュートセレクションは悪くないので、あんまり不安視はしていません。
ゴンザガ大は無敗のまま連勝街道をひた走り、NCAAトーナメントでも上位進出が有力視されます。チームが期待通りのシーズンを過ごせば、ジェイレン・サッグスの上位指名は揺るがないでしょう。
スコッティ・バーンズ
大学:フロリダ州立大
学年:フレッシュマン
ポジション:PG/PF
登録身長:6フィート9インチ(205.7cm)
スタッツ:24.8分11.1得点3.8リバウンド4.1アシスト1.5スティール0.4ブロック2.0TOFG49.3%3PT26.3%FT44.4%
ハイライト
カレッジでPGに転向した大型ガード
高校時代はオールラウンド系のインサイドプレーヤーとして高い評価を得ていたスコッティ・バーンズ。高校最後の1年を過ごしたモントバードアカデミーはケイド・カニングハムともチームメイトでした。
カレッジでは従来のPFからPGに転向し、大きな話題に。ハンドリングやパスという点では、高いスキルやセンスを見せますが、経験不足故に判断はまだまだ。アウトサイドシュート精度も壊滅的で、ガードとしては弱点も少なくはありません。
一方で登録身長6フィート9インチ(205.7cm)でPGを務める事の出来る卓越したスキルセット、全てのポジションを守る事の出来るディフェンスでの多様性は、他のプレーヤーには無いバーンズの魅力。時に見せるエモーショナルな仕草も含め、見るものを惹き付ける引力のあるプレーヤーです。
PGとしてのプレーでは、インサイドプレーヤー時代の強みであったパワフルな泥臭さが少し鳴りを潜めてしまっている気が。PGとしては課題も多く、この先のレベルでもガードとしてプレーするのかは分からないかなと。
とは言え、PGに挑戦した経験は間違いなくプラスに作用するでしょう。1巡目10位前後での指名を予想します。
シャリーフ・クーパー
大学:オーバーン大
学年:フレッシュマン
ポジション:PG
登録身長:6フィート1インチ(185.4cm)
スタッツ:33.0分27.0得点4.5リバウンド10.5アシスト2.5スティール0.0ブロック5.0TOFG41.5%3PT9.1%FT86.4%
ハイライト
遂にベールを脱いだ世代屈指のスコアリングガード
NCAAからの出場許可が下りず、開幕から出遅れていたシャリーフ・クーパーも遂にカレッジデビューを。デビュー2試合平均で27得点10.5アシストは、2017-2018シーズンのトレー・ヤングを思い出させる記録的なスタッツです。
チームの流れの中でプレーするのではなく、ボールを長い時間保持してコントロールするタイプの司令塔。モーターが入っているかの様なクイックなドライブでやすやすとディフェンスを抜き去り、広い視野からワイドオープンのチームメイトに的確なアシストを供給。カレッジでは創造性に溢れるパスセンスが際立っています。
スコアリングの面では、アウトサイドが絶不調。リム周辺でのフィニッシュの精度やバリエーションにも改善の余地が見えます。また、サイズ不足によるディフェンスでの不安も付きまとうでしょう。
オーバーン大でのチームメイトには、アスレティックなプレーヤーが多く、クーパーのデビュー後2試合では、クーパーのパスを受け水を得た魚の様にハイライトプレーを連発。クーパーのプレー振りには、まだまだ余力も見えますし、これからも今の様なペースでスタッツを維持してしまいそう。
クーパーと同じくスモールガードのトレー・ヤングが活躍している前例もあり、クーパーも1巡目10位内で指名を受けると予想します。
今年は上位指名候補のPGが豊富
昨年はペイトン・プリチャード、マーカス・ハワード、カシアス・ウィンストン等、2巡目でも実力派の上級生ガードを取る事が出来ました。今年も上級生に良いガードがいますが、昨年と比較すると、上位指名候補の下級生ガードが充実しているのが今年ですかね。
シーズン開幕前に高い評価を受けたウイングプレーヤーの苦戦が続く中、能力や将来性に加え、高いスキルを備えたガード陣がその評価を高めています。新型コロナにより、普段とは異なるスケジュールとなったシーズンでも安定した活躍を見せる彼等は、NBAで環境が変わっても力を示してくれると期待しています。
カレッジのシーズンはまだ開幕したばかりで、開幕を控えたGリーグ勢の活躍次第でもドラフト勢力図はまだまだ変わってくるはず。新型コロナによる影響、Gリーグの新プログラムの開始と、今年のドラフトは例年以上に予測の難しいドラフトとなりそうです。
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