カレッジでも異彩を放つユニコ―ン、チェット・ホルムグレン

ゴンザガ大のフレッシュマン、チェット・ホルムグレン。

高校時代には、ステファン・カリーを相手にカリーの得意ムーブを決め、一躍世界的にその名を知られる様になった、世代を代表するプレーヤー。

来年のドラフトでも上位候補と目され、7フッターにしてウイングのスキルを備えるその稀有なプレースタイルから"ユニコーン"とも呼ばれている。

"ユニコーン"ホルムグレンは進学先のゴンザガ大でも、異彩を放ち続けている。


チェット・ホルムグレン

大学:ゴンザガ大
生年月日:2002年5月1日
学年:フレッシュマン
ポジション:PF/C
身長:7フィート1インチ(215.9cm)
出身校:ミニハハアカデミー(ミネソタ州)
主な個人賞:Gatorade National Player of the Year (2021)/Morgan Wootten National Player of the Year (2021)/Naismith Prep Player of the Year (2021)/FIBA Under-19 World Cup MVP (2021)
予想指名順位:3位以内

ハイライト


高校バスケ界を席巻したユニコーン



まずは、学年を代表するプレーヤーと評価されてきたチェット・ホルムグレンの高校時代から。

ホルムグレンがその名を広く知られる様になったのは、彼が高校のジュニア(日本の高2相当)になる前の2019年の夏。

ステファン・カリー主催のキャンプで、カリーを相手にカリー自身の得意ムーブを決め、その動画がSNS上で拡散された事で、その名は世界中に知られる様になった。

出身はミネソタ州。現在オーランドマジックで活躍するジェイレン・サッグスとはAAUのグラスルーツシズルで小学生時代からチームメイトだ。

6年生からは州内の私立校、ミニハハアカデミーに通い始め、サッグスとはミニハハでもチームメイトとしてプレーしている。

現在は7フッターのホルムグレンは、常に周囲の子供達よりも大きかった様で、6年生でミニハハアカデミーに入学した時点で身長は6フィート2インチ(約188cm)あったとか。

普通であれば、ビッグマンとしての育成を受けていたであろうホルムグレンだが、AAUの方針もあり、サッグス等とオールラウンドなプレーに磨きを掛けてきた様だ。

高校ジュニアのシーズンには、現在NBAでプレーするBJ・ボストンやザイアー・ウィリアムスを擁したシエラキャニオンスクールと対戦。

ESPNにより放映されたこの試合で、ホルムグレンは9得点10リバウンド12ブロックという驚異的な活躍を見せ、その名は更に広く知られる事となった。

ジュニアのシーズンまではサッグスに使われるプレーヤーであったホルムグレンだったが、シニア(日本の高3)のシーズンには見事に1人立ち。

ディフェンスではそれまでと変わらぬ存在感を見せる一方、オフェンスではハンドラーまでこなす万能っぷりで、高校バスケ界の主要最優秀選手賞を総なめにした。

当然、多くの強豪校からリクルートをオファーを受けたホルムグレンは、盟友サッグスのプレーしたゴンザガ大を進路に選んだ。

また、今夏開催されたU19ワールドカップにUSA代表として出場。チームを世界制覇に導き、大会MVPも受賞している。

ディフェンスでペイントエリアを支配

7フィート1インチ(約215.9cm)の身長に、長いウイングスパンを有し、カレッジでも絶対的なサイズを誇るホルムグレン。

高さと機動力を武器に、シーズン10試合出場時点で平均25.3分の出場時間で3.9ブロックを記録。この数字は現時点でNCAAディビジョン1全体で4位の驚異的な数字だ。※2021年12月11日時点。

体重は195ポンド(約88.5kg)とインサイドプレーヤーとしては心許なく、確かにパワーで押し負ける事はあるが、その弱点をサイズと機動力でカバー出来ている事は明らかだ。

ペイントエリアでの存在感だけではなく、アウトサイドで複数ポジションをカバー出来る点も彼のディフェンスの長所だろう。

飛び抜けてクイックという事は無いが、驚異的なサイズがあるので、ちょっとやそっと遅れても、どうとでもなってしまうのだから羨ましい限り。

現時点でもディフェンスで大きなインパクトを残すホルムグレンだが、フィジカルが追い付いてくるだけで、飛躍的な成長を見せてくれるはずだ。

高いレベルで整ったオフェンススキル

近年、NBAでのスキルボールのトレンドを受け、高校・カレッジレベルでも、大型プレーヤーのオールラウンド化が進む。

学年トップレベルともなれば、パワーフォワードやセンターのプレーヤーであっても高精度アウトサイドシュートだけでなく、優れたハンドリングスキルを有するプレーヤーは少なくない。

大型プレーヤーのオールラウンダー化が進んでいるとは言え、ホルムグレン程にサイズ、シューティング、ハンドリング、パッシングのスキルを高いレベルで揃える19歳の7フッターには中々お目に掛かれない。

その総合的なスキルの高さが、彼がユニコ―ンとも呼ばれ、U19ワールドカップでMVPを受賞し、更には2022年のドラフト上位候補と評される所以だろう。

ゴンザガ大には、ドリュー・ティミーというカレッジ屈指のポストプレーヤーがいるおかげで、ホルムグレンはペイントエリアに貼り付く必要が無く、ウイングからのドライブや3PTシュートでホルムグレン"らしさ"を出せている。

1試合平均2.7本を放ち、成功率33.3%のスリーポイントは7フッターのフレッシュマンとしては上々。

パススキルも高く、アシストも1試合平均2.5本とオールラウンダーとしてのスキルはしっかり数字に表れている。

総合的なオフェンススキルの完成度は高く、このままの方向でスキルの精度と強度が伸びれば、更に大化けするだろう。

ロマンと総合力を兼ね備える大器

さて、長々と書いたけれど、結局何が言いたいのかと言うと

・フィジカルが懸念されるがプレーはソフトじゃないよ
・ロマン枠に見られがちだけど既にスキルの総合力が高いよ
・これだけのサイズとスキルを揃える19歳は中々いないよ

といった事だろうか。

大きく、華奢でスキルフルなプレーヤーは、ロマン枠に見られがちな気がしているけれど、今年のドラフトで3位指名を受けたクリーブランドキャバリアーズのエバン・モーブリーだって立派に活躍している。

だから、僕はホルムグレンも結構有りだと思うよというお話でした。

コメント