"負けなかった"バージニア大。同校史上初のNCAAトーナメント制覇を達成。

2018-2019シーズンのカレッジ王者の座をかけて争われたNCAAトーナメント決勝は、共に初優勝を狙うバージニア大とテキサス工科大の対戦に。
NCAA屈指のディフェンス力を誇るチーム同士の対戦は、NCAAトーナメント決勝では2008年以来となる延長戦にもつれ込みました。

ここまでのトーナメントで多くの逆境を跳ね返してきたバージニア大。
延長でもテキサス工科大に先手を取られますが、動じることなく自分たちのバスケットを遂行し逆転。
85-77でバージニア大が勝利し、同校史上初となるNCAA王者に輝きました。

FINAL4のMOP(Most Outstanding Player=最優秀選手)には、決勝で24得点を記録したカイル・ガイが選出されています。

逆転勝利を引き寄せたバージニア大の不動心


今大会のバージニア大はどこで敗退していてもおかしくなかった。
彼らの戦いぶりは"勝ち上がった"よりも"負けなかった"が適当な様に思う。
ELITE8での対パデュー大戦では後半残り6.9秒で3点ビハインド、FINAL4での対オーバーン大戦でも残り17.6秒で4点のビハインドを背負っていた。
決勝でも後半残り22.5秒で3点ビハインド、延長でもテキサス工科大にリードを許した。
それでもバージニア大は負けなかった。
どんな逆境に立たされようとも、彼らのプレーがブレることはなかった。
試合後のインタビューで、バージニア大のフレッシュマン、キーヘイ・クラークは
“We just play our game and never get rattled.(迷うことなく自分たちのプレーをしただけ)”
とコメントを残している。
このバージニア大の不動心には昨年のNCAAトーナメントでの苦い経験が影響している様に思う。

昨年のバージニア大は今年同様、NCAA屈指のディフェンスを武器に第1シードでNCAAトーナメントに出場。
強豪ひしめくACCでレギュラーシーズン17勝1敗と抜群の安定感を見せ、FINAL4進出に大きな期待が寄せられた。
しかし、蓋を開けてみれば初戦で第16シードのUMBCに20点差で完敗。
第1シード校の第16シード校への敗戦は史上初という不名誉な結果でトーナメントを去った。

今年のバージニア大の主力選手達は昨年のトーナメントで屈辱を味わった選手達。
今回のトーナメントでは、多くの逆境にさらされたが決して動じることなく自分たちのプレーを遂行。
昨年の雪辱を果たし、同校史上初のNCAAトーナメント優勝を掴んだ。

後一歩及ばなかったテキサス工科大の勢い

決勝までのテキサス工科大の勝ち上がり方は素晴らしかった。
堅守で粘り、勝負所でマット・ムーニー、ダビデ・モレッティ、ブランドン・フランシスが火を噴き相手を突き放し、勝負どころではエースのジャレッド・カルバーが決定的な仕事をしてみせた。

ELITE8では八村塁擁するカレッジ屈指のタレント集団のゴンザガ大を粉砕し、FINAL4でもミシガン州立大を振り切った。
今大会のテキサス工科大の勢いは凄まじく、同校史上初のFINAL4出場だけでなく、そのまま全米王者の座を奪い取ることも予感させた。

決勝でも後半残り10分強での10点のビハインドをジリジリと詰め寄り、残り35.1秒にはカルバーのドライブで逆転し、テキサス工科大の勝ちゲームの様に思われた。

延長でもテキサス工科大躍進の原動力であるムーニーが連続で得点し先手を取った。
圧倒的有利はテキサス工科大だった。

しかし、どんな逆境に置かれようとバージニア大が動揺することは無かった。
バージニア大は延長で獲得した12本のフリースローを全て成功。
抜群の集中力でテキサス工科大の勢いを受け流して見せた。

優勝こそ逃したものの、テキサス工科大は間違いなく今大会の主役だった。
タレントで勝るチームをディフェンスで抑え込み、小さなガード陣がとどめを刺すゲーム展開は爽快だったし、FINAL4で負傷退場したタリク・オーウェンスが復帰してくるシーン等、多くの場面で会場を盛り上げた。
デューク大の様なNBA上位候補を揃えたチームでなく、上級生かつ他大からの転校生を主力とするテキサス工科大の躍進は、カレッジバスケの醍醐味を改めて感じさせてくれた。


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