2019-2020シーズンカレッジ注目チーム:ビラノバ大


2016年、2018年と全米王者に輝いたビラノバ大。近年のカレッジバスケで最も成功しているチームの1つであることは間違いないでしょう。デューク大やケンタッキー大の様にリクルートで有望高校生を獲得するチームではありませんが、確かな育成力と徹底したチームバスケを武器にカレッジバスケ界で確固たる地位を築いています。

今年はリクルートでも成功を収め、ジェレマイア・ロビンソン-アール、ブライアン・アントワンと2人のMcDonald's All-Americanが加入。昨季のトップスコアラーだったフィル・ブースとエリック・パスカルは卒業してしまいましたが、名将ジェイ・ライトの下に有望選手が集まり、今季注目の1校となりました。

昨季からの主要選手

PG:コリン・ギレスピー
SF:サディーク・ベイ
SF:ジャーメイン・サミュエルズ
PF:ダミール・コスビー-ラウンドツリー
PF:コール・スワイダー

主要新規加入選手

PF:ジェレマイア・ロビンソン-アール
SG:ブライアン・アントワン
SG:ジャスティン・ムーア
PF:エリック・ディクソン
PG:クリス・アルチディアコノ

注目選手

サディーク・ベイ


ジェレマイア・ロビンソン-アール


展望

昨季の主力選手が今年も残留

昨季のトップスコアラーだったフィル・ブースとエリック・パスカルの2人は卒業でチームを去りましたが、その他のメンバーは今年も健在。コリン・ギレスピー、サディーク・ベイ、ジャーメイン・サミュエルズ、の4人に加え、今年ソフォモアとなるコール・スワイダーの5人は戦力として計算が出来ます。

チームの中心となるのは昨季平均10.9得点を記録したコリン・ギレスピー。3PT成功率37.9%と精度の高いアウトサイドシュートを持つ如何にもビラノバ大らしいガード。今季はチームのトップスコアラーとして活躍してくれるでしょう。

今年ソフォモアになるサディーク・ベイの躍進にも目が離せません。開幕前の期待値はそれ程高くはありませんでしたが、36試合中29試合にスターティングメンバ―として出場し、平均出場時間29.6分で8.2得点を記録し、チームにとって欠かせないプレーヤーとなりました。他の有望フレッシュマンが出場時間の獲得に苦労する中、非常にタフで攻守両面での貢献が出来るベイはすぐに出場時間を獲得。今季はチームを牽引する選手への成長が楽しみです。2016年の全米制覇に導いたジョッシュ・ハートと同じ高校出身という点も彼の活躍に影響しているかもしれませんね。

有望フレッシュマンの獲得に成功

ビラノバ大はリクルートで個々の優れたタレントを揃えるよりも、育成とチーム戦術の徹底で結果を残してきたチームですが、今年は有望高校生の獲得に成功。McDonald's All-Americanに選出されたブライアン・アントワンとジェレマイア・ロビンソン-アール、Hoop Summitに選出されたジャスティン・ムーア、学年Top100に入る選手であるエリック・ディクソン、2016年全米制覇のチームで主力だったライアン・アルチディアコノの弟であるクリス・アルチディアコノの5人が加入しました。

チームルールが徹底されるビラノバ大で、入学したばかりのフレッシュマンが活躍するのは容易ではありません。去年も学年屈指のガード、ジェボン・クイナリーが入学しましたが、チームに居場所を確保することが出来ず1シーズンで転校となりました。しかし、IMGアカデミーを全米制覇に導いたロビンソン-アールはビラノバ大のスタイルにフィットするオールラウンドなスキルがあり、即戦力としての活躍が期待出来ます。U19ワールドカップでもUSA代表としてプレーしたロビンソン-アールはタフなフィジカルとディフェンスを既に備えており、ビラノバ大でもすぐに活躍を見せてくれるはずです。

アントワンも期待される選手ですが、出場時間が確保できるかどうかは、チームのシステムに早く慣れる事が出来るかに掛かっているでしょう。アントワンを不安なく起用出来る様であれば、ウイングに身体能力が加わり、チームとしては大きなプラスです。現在は肩の故障により療養中との事なので、まずは健康を取り戻すことが第一でしょう。
ポテンシャルでは上の2人劣りますが、エリック・ディクソンもビラノバのスタイルに合う選手。アウトサイドを得意とするPFで、数年後にはチームに欠かせない選手に成長するでしょう。ハンドリングやパッシングスキルを磨けば、カレッジ屈指のフォワードに成長してもおかしくはありません。

ウイングでは、ムーアがアントワンよりも早くに出場時間を獲得する可能性も高いでしょう。名門Dematha Catholic High School出身のコンボガードで攻守ともにタフなプレーが出来る選手。ビラノバ大のシステムへの適合性で言えば、ムーアがアントワンよりもフィットすると予想します。

ロビンソン-アール、アントワンはアーリーエントリーで早期にカレッジを去る事が濃厚ですが、ディクソン、ムーア、アルチディアコノの3人は次代の主力として、ビラノバ大を支える柱になる選手達です。

フレッシュマン次第ではFinal4が狙えるチームに

昨季からの主力に有望なフレッシュマン達が加入し、充実した戦力が揃ったビラノバ大。経験値では2018年の全米制覇を達成したチームに及びませんが、タレントレベルであれば全く見劣りしません。ビラノバ大は攻守ともにチームルールが徹底されるチーム。フレッシュマンが戦力として計算出来る様になるには、個々のタレント以上にチームルールに適応することが重要。そういった意味でロビンソン-アール、ムーアの2人が即戦力となりそうです。

このままの戦力が来季まで残れば、間違いなくFinal4候補なのですが、有望選手が活躍すれば高い確率で早期にアーリーエントリーでチームを去ってしまいます。ロビンソン-アールとアントワンの2人は活躍すればone and doneの可能性もあり、チームとしては複雑な所でしょう。

2018年全米制覇メンバーの多くが去り、戦力ダウンが懸念された昨季ですが、何だかんだで26勝を積み上げ、レギュラーシーズン・トーナメント共に強豪カンファレンスであるBig Eastを制したのはジェイ・ライトの手腕。最近のNCAAトーナメントで成功するチームは上級生主体のディフェンシブなチーム。今年のビラノバ大は経験には欠けますが、2016年、2018年とビラノバ大を全米制覇に導いた名将の力でElite8には顔出してきそうです。


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