2019-2020注目フレッシュマン:ノースカロライナ大コール・アンソニー

2019-2020シーズンの開幕前に今季の注目度フレッシュマンをピックアップ。まずは昨季の高校バスケ界を代表する選手コール・アンソニー。元NBA選手のグレッグ・アンソニーを父に持つ2世選手で、下級生の頃から高い評価を得ている。

高校生にしてバスケットボール専門誌SLAMのカバーを飾る程、高い注目を集める選手でもあり、高校卒業後はカレッジバスケットボールの名門、ノースカロライナ大(UNC)に進学。来年のNBAドラフトでも上位指名が期待される逸材だ。


コール・アンソニー

カレッジ:ノースカロライナ大
ポジション:PG
ESPNランキング:2位
出身高校:Oak Hill Academy
主な受賞歴:USA Today All-USA third team(2018)/McDonald's All-American Game MVP (2019)/Jordan Brand Classic Co-MVP (2019)/Nike Hoop Summit MVP (2019)

経歴

私がアンソニーを初めて知ったのは2016年夏のAAUシーズン。彼はEYBL所属のPSA Cardinals(カーディナルス)でプレーしていました。モハメド・バンバ、クアデ・グリーンを擁したカーディナルスはPeach Jamで決勝に進出。アンソニーも下級生ながら主力としてチームに貢献。

この年、カーディナルスとPeach Jamの決勝で対戦したのはトレー・ヤングとマイケル・ポーターJrを擁したMokuan Elite。ヤングとポーターの圧倒的なオフェンス力にカーディナルズは及ばず。準優勝に終わります。

フレッシュマンから学年トップクラスのガードとの評価を受けていたアンソニー。高校ではジュニアまでニューヨークのArchbishop Molloy High Schoolでプレー。1学年上にも学年を代表するCでMcDonald's All-Americanにも選出されたモーゼス・ブラウンが在籍しましたが、チームとしては大きな成功を上げることは出来ずに終わります。

既に個人としてはこれ以上ない評価を受けていたアンソニーだが、シニアのシーズンを前に全米制覇を目指して転校。全米屈指の名門校Oak Hill Academy(オークヒル)に加入。カーメロ・アンソニー等、多くのNBA選手を輩出したことで知られるオークヒルでやイリノイ大に進学するビッグマンのコフィ・コックバーンやclass of 2020のシューター、キャメロン・トーマスとプレーし期待通りの活躍を見せる。オークヒルを高校バスケ全米No1を決めるGeico Nationalsへと導いたものの、惜しくも準決勝敗退に終わり、アンソニーの高校バスケのキャリアは幕を閉じた。

その後のオールスターゲームでの活躍は既に皆様もご存知の通り。アメリカ高校バスケ界3大オールスターゲームの全てでMVPを獲得。高校レベルでは他を寄せ付けない圧倒的な支配力を持つ選手に成長した。

2018年夏にはU18USA代表としてFIBA Americas U18 Championshipに出場。チームの大会制覇に貢献し、All-Tournament Teamにも選出されている。

プレースタイル

下級生の頃は身体能力に優れた選手という印象だったが、学年が上がるに連れてトリプルダブルを量産するオールラウンダーへと成長。裸足身長185.4cmとサイズは少し寂しいが、アウトサイドシュートやフローターの精度も高く、助走有の垂直跳び109.2cmという驚異的な跳躍力を有する。それでいて身体能力だけに頼ることはなく、ヌルヌルとしたハンドリングと難易度の高いシュートを難なく沈めるシュート精度で容易に得点を重ねる。2017のAAUでは、Defensive Player of the Yearにも選出されており、ディフェンスにも定評がある。

高校トップレベルの選手が集まるオールスターゲームでも彼のプレーは頭一つ抜けていた。高校では思う様に得点が出来ていただけに、カレッジでは彼のゲームコントロールの力が試される。アマチュア世界最高峰のNCAAでアンソニーのPGとしての真価が問われるだろう。

展望

UNCで昨季スターティングガードを務めたコビー・ホワイトはアーリーエントリーでNBA入り。トップスコアラーは皆卒業やアーリーエントリーでチームを去り、UNCは今季全く新しいチームとなる。

スタータイプの選手は不在だが、確かな実績を持つ転校生や有望新入生の加入で各ポジションのタレントは充実。昨季から残る選手達も着実に経験を積んでおり、大きな飛躍が期待出来る。その中でチームの中心になるのは間違いなくアンソニー。ホワイト、キャム・ジョンソン、ルーク・メイと得点機会を自ら創る事の出来る選手がチームを去った今、アンソニーのゲームメイクはチームのカギとなるだろう。

カレッジNO1のSGに贈られるジェリー・ウェスト賞の有力候補にも名前が挙げられ、UNCのヘッドコーチである名将ロイ・ウィリアムスをして"今までリクルートした選手の中で最も完成されたPG"と言わしめる程、高い期待を集める選手。UNCを勝利に導くことが出来れば、自ずと彼自身のドラフト上位指名も見えてくる。

完成度の高い選手と評されるアンソニーだが、彼とこれまでの優れたオールラウンドPGとを分けるのは、高校時点でのシュート精度だろう。オールラウンダーが流行りの今、何でもこなすトップPGも少なくない。しかし、高校時点でアンソニー程高いシュート精度を身に着けていた選手は中々いない。2018年のAAUで残したFT成功率89.2%という数字は、高校生としては特筆に値する。得点力には何の疑いもないが、カレッジではやはり彼のゲームメイクの能力に注目したい。

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