2019-2020シーズン:【開幕直前予習】ミシガン州立大対ケンタッキー大

NCAA開幕の恒例行事となったChampions Classic。NCAAの超名門、デューク大、カンザス大(KU)、ミシガン州立大(MSU)、カンザス大(UK)の4校が激突するこのイベント。今年はこの4校が開幕前のランキング上位4校を独占。シーズンの行方を占う大一番となりそう。

対戦カードはランキング1位のMSU対2位のUK。3位のKU対4位のデューク大。まずはMSU対UKの予習から。

MSUは何と言ってもカシアス・ウィンストン

絶対的司令塔のカシアス・ウィンストン

昨季もNCAAトーナメントでFinal4進出を果たしたMSU。最大のストロングポイントは今季カレッジの最優秀選手賞の最有力候補に名前が挙げられるPGのカシアス・ウィンストン。ジュニアだった昨季は平均18.8得点7.5アシストを記録し、所属カンファレンスの最優秀選手賞も獲得。サイズが小さく、電光石火のクイックネスもないが、強気なゲームメイクと高確率のシューティングでMSUのオフェンスをリード。押しも押されぬカレッジNO1プレーヤーとしてカレッジバスケ最後のシーズンを迎えます。

アウトサイドの中心がウィンストンなら、インサイドの柱はゼイビア・ティルマン。インサイドの選手として小さめで、地味な選手ではあるけれど、NCAAトーナメントでは堅実なプレーで貢献。Final4進出をかけた対デューク大戦では19得点9リバウンド2ブロックと奮闘し、ウィンストンと共に勝利の立役者となった。

今季シニアとなるウイングのジョシュア・ラングフォードは怪我で開幕に間に合わず。MSUにとっては大きな痛手だが、NCAAトーナメントでも多くの出場時間を得たソフォモアのアーロン・ヘンリーがその穴を埋めるでしょう。

UKは層の厚いガード陣でウインストンに対抗

UK期待のフレッシュマン、タイリース・マキシー

カレッジNO1ガードのカシアス・ウィンストンに対してUKは数で勝負。個々の力ではウインストンには及ばないかもしれないが、イマニュエル・クイックリー、アシュトン・ヘイゲンズ、タイリース・マキシーとNBA候補のガードが3枚も揃い、流石のウィンストンも苦労をするだろう。ヘイゲンズのボールマンへのディフェンスはしつこく、ウインストンを疲弊させる。積極的アウトサイドを放つクイックリー、ディア―ロン・フォックス以来のスピードを誇るマキシーとディフェンスではタイプの違う選手をガードしなければならない点もウィンストンの体力を削るだろう。

インサイドにはどちらも高校ではMcDonald’s All Americanに選出されたニック・リチャーズとEJ・モンゴメリーがおり、能力は十分。リチャーズはサイズを武器にインサイドで存在感を示し、モンゴメリーは高い機動力とオールラウンドな技術が魅力。モンゴメリーは昨季大きな飛躍を遂げたPJ・ワシントンの様なステップアップが期待される。バックネル大からの転校生、ネイト・セスティナも得意の3PTでインサイドに厚みと多様性を加えている。

経験のMSUと能力のUK

MSUの強みは昨季Final4進出を果たした経験値。主力として活躍したウインストン、ティルマン、ヘンリーが残り、ガード、ウイング、インサイドの各ポジションに中心となれる上級生がいるのは大きい。

UKの強みは圧倒的な選手層。全てのポジションに複数のNBA候補が揃う。身体能力の高さではMSUを凌駕する。MSUと比較すれば若いチームではあるが、カリパリ体制のチームとしては例年よりはフレッシュマンへの依存度は低い。とは言っても、昨季から主力として活躍していのはヘイゲンズくらいだけれど。ウイングにもケイヒル・ホイットニー、キーオン・ブルックスとアスレティックな選手が揃うけれど、皆フレッシュマン。

上級生が揃うMSUではあるが、主力が複数卒業やアーリーエントリーでチームを去り、スターティングラインナップにはフレッシュマンのロケット・ワッツが名前を連ねる。選手層には不安を残し、インサイドはティルマン頼りとなりそう。ソフォモアのマーカス・ビンガムはショットブロッカーとして大成するポテンシャルがあり、彼のステップアップは今季のMSUの1つのカギとなりそう。

下級生主体のUKの若さは懸念事項。絶対的エースも不在だが、タレントの枚数が多く、量でカバーが出来る。今季は基盤となるガードのディフェンス力が高いのも安心材料となるでしょう。プレシーズンランキングでがMSUが1位にランクされるが、この試合ではUKに分があると予想します。

しかし、これはあくまで開幕時点での予想。NCAAのシーズンは長く、NCAAトーナメントにチームのピークを合わせるのは容易ではない。この点でもMSUの持つ経験値が力を発揮するだろう。新加入のフレッシュマンや下級生がシーズン中に成長し、トーナメントまでに戦力として計算出来る様になれば、MSUがFinal4進出の最有力である事に変わりはないでしょう。

一方のUKは良い選手こそ集まるけれど、2015年以降、Final4への進出はなし。毎年ドラフト1巡目指名でNBAに選手を送り込んではいるものの、上級生の活躍が勢いをもたらすNCAAトーナメントでUKは上位進出に苦戦。リクルートで良い選手を取り続ける為には、有望高校生に魅力的なチームでなければいけない。下級生を活躍させ、ドラフト上位指名でNBAに輩出し続ける必要があるけれど、そうなると上級生まで選手が残らず、NCAAトーナメントで上位に食い込むことが難しいというのはUKのジレンマですね。

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