ジャック・テイラー、1試合138得点の記憶

NBAでプレーするジャレッド・カルバーの兄、JJ・カルバーがカレッジの試合で1試合100得点を記録したことが話題となっている。カレッジと言えど、カルバーの所属するウェイランドバプティスト大はNAIA所属の大学で、“カレッジバスケ”と言われて真っ先にイメージするNCAAとは別組織に所属するチームだ。

カルバーの100得点のニュースを目にした時、私の頭をよぎったのはジャック・テイラーの名前だった。そう、2012年に1試合138得点を記録した彼だ。テイラーが所属していたグリネル大はディビジョン3ではあるが、NCAA所属校。テイラーの記録した1試合138得点は今現在もNCAAの1試合最高得点記録である。

一躍時の人となったテイラーだったが



今から7年前の2012年11月20日。グリネル大対フェイスバプティストバイブル大戦で前半だけで58得点を叩き出したグリネル大のジャック・テイラーは後半更にペースアップ。後半で80得点を叩き出し、1試合合計138得点を記録。一躍時の人となった。

この試合でテイラーが叩き出したNCAA記録は下記の通りだ。

1試合最多得点 :138得点
各ハーフでの最多得点:80得点
1試合最多FG成功数:52本
1試合最多FG試投数:108本
1試合最多3PT成功数:27本
1試合最多3PT試投数:71本

歴史的な記録を打ち出したテイラーだが、彼がその記録に見合う様なスーパースターだったかと言われると疑問が残る。この異常なまでの得点記録は当時のグリネル大のHCであるDavid Arseneaultによってもたらされた。Arseneaultのスタイルは可能な限り、多くの3PTを放つオフェンス特化型のスタイルであり、得点やアシストの記録を狙うものだったからだ。

その為、華々しい得点記録の一方で、グリネル大は同時に批判も浴びることとなった。この試合のスコアは179-104と大差が付き、テイラーの得点が記録狙いであることは明らかだったからだ。加えて、この試合の対戦相手、フェイスバプティストバイブル大はグリネル大よりも格下の団体に所属するチームだった。

全世界の注目を集めたテイラーだったが、身長180cm未満のシューターの彼がその後プロに進むことはなく、バスケットボールからは遠ざかった様だ。1試合138得点で知られるテイラーだが、その後も1試合109得点を達成。4年制大学の選手として史上初めて1試合100得点以上を複数回達成した選手でもある。この事からも、如何にグリネル大のスタイルが特異なものだったかが分かるだろう。

2016年にはこんなインタビュー記事が出ているので、気になる方は是非。もうバスケットボールはプレーも、観戦も、コーチもしないとのこと。バスケットボールは人生に必ず必要なものではないけれど、なんだかちょっと複雑な気分になってしまう。今回100得点を達成したカルバーにも過度な注目や期待はしない方がいいのかもしれない。

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