NBAドラフト2020:大成を予感させるコンボフォワード、プレシャス・アチュワ

メンフィス大のフレッシュマン、プレシャス・アチュワ。

ジェームス・ワイズマンがシーズン早々に離脱し、窮地に立たされたメンフィス大のインサイドを獅子奮迅の活躍で支えた彼もNBAドラフトへのアーリーエントリーを表明しました。

現代的なコンボフォワードタイプのインサイドプレーヤーで、高い将来性が見込まれています。フレッシュマンにしてカンファレンスの最優秀選手賞を獲得し、現時点での実力も折り紙付き。

高校はディアンジェロ・ラッセル、ベン・シモンズ、RJ・バレット等を輩出し、現代的なプレーヤーの育成に定評のあるモントバーデアカデミー。モントバーデアカデミー出身というだけで、オールラウンダーへの成長への期待が高まります。

運動能力の高さは今年のドラフト候補のインサイドプレーヤーの中で屈指で、育成の方針、成否次第では、バム・アデバヨやパスカル・シアカムといったスターになれるポテンシャルを秘める素材です。



プロフィール

氏名プレシャス・アチュワ
カレッジメンフィス大
学年フレッシュマン
生年月日1999年9月19日
ポジションPF/SF
出身校モントバーデアカデミー
(フロリダ州)
主な個人賞
AAC最優秀選手賞(2020)
AAC最優秀新人賞(2020)
1stチームオールAAC(2020)
マクドナルドオールアメリカン(2019)
特記事項両親共に聖職者で兄弟揃って中々に特徴的な名前
長所・ガードの様なクイックネスと機動力
・オールラウンダーのセンス有り
・リバウンドやブロックにも強さを見せる
懸念事項・オフェンススキルはブラッシュアップの必要
・アウトサイドシュートを伸ばすことが出来るか

スタッツ

出場時間(分)FG%3PT%FT%OFF RebDEF RebREB
30.449.332.559.937.810.8
ASTBLKSTLPFTOPTS
1.01.91.12.42.815.8

アドバンスドスタッツ

USG%OFF RTGDEF RTG+/-TS%OFF REB%
27.60%101.182.019.1054.20%12.50%
DEF REB%REB%AST%STL%BLK%TO%
27.00%20.40%7.40%2.00%6.40%16.20%

ハイライト

身体測定結果

靴有身長(cm)裸足身長(cm)体重(kg)ウイングスパン(cm)スタンディング
リーチ(cm)
備考
プレシャス・アチュワ205.7-101.2219.1274.32019フープサミット
での数値
PF平均206.2203.0102.9216.5271.52015-2019のドラフ
トコンバイン平均

身長はPFの平均程度のアチュワですが、ウイングスパン、スタンディングリーチ共にPFの平均を上回ります。

サイズ感はバム・アデバヨ(ウイングスパン=220.3cm/スタンディングリーチ=274.3cm)、ボビー・ポーティス(ウイングスパン=218.4cm/スタンディングリーチ=275.6cm)、パスカル・シアカム(ウイングスパン=221.6cm/スタンディングリーチ=273.1cm)のドラフトコンバイン時と同程度。

スキルボール真っ盛りの近年のNBAでは十分にスモール5を務められるサイズですが、体重の低さは懸念。(上記の数字は2019年時点の物なので現在はより重い可能性有)

求められるスタイル次第では、フィジカル強化も必要となりそうです。

発展途上だがオールラウンダーのセンスを見せる

ナイジェリア出身のコンボフォワード、プレシャス・アチュワ。アメリカに移った8年生の頃にバスケットボールにフォーカスを始め、競技歴はまだ浅いプレーヤーです。

高校のシニア(日本の高3相当)のシーズンにフロリダのモントバーデアカデミーに転校。全米招待の準決勝まで進み、アチュワ個人はマクドナルドオールアメリカン、フープサミットにも選出されています。

卒業後はアンフェニー・ハーダウェイがヘッドコーチに就任したメンフィス大に進学。

チームメイトのジェームス・ワイズマンが高校時代の金銭授受の問題でシーズン開始早々にメンフィス大を去る中、インサイドで奮闘しチームを牽引。カンファレンスの最優秀新人選手賞と最優秀選手賞を同時に受賞する活躍を見せました。

メンフィス大が所属するカンファレンスであるAACは競合カンファレンスではありませんが、ミッドメジャーの中でも上位とみなされるカンファレンス。AACは2013年設立の新しいカンファレンスで、フレッシュマンでの最優秀選手賞の受賞はカンファレンス史上初の快挙でした。

オールラウンダーの名産地、モントバーデアカデミー出身であるアチュワは、本来であればコンボフォワードとしての多彩なプレーが魅力ですが、ワイズマンの離脱によりカレッジではインサイドでのプレーがメイン。

オフェンススキルはまだまだ発展途上の中、トランジションやリング周辺で強さを見せました。オフェンスリバウンドにも強く、プットバック(オフェンスリバウンドからのドリブル無しでの得点)だけで1試合平均3.0得点を稼ぎ出しています。

カレッジではインサイドをメインにプレーしていましたが、優れた運動能力とオールラウンドなセンスを見せるアチュワのナチュラルポジションはウイングでしょう。

ハンドリングが向上すれば、屈強なフィジカルを誇るアチュワのドライブはNBAレベルでも脅威となります。FT成功率は59.9%と課題が残る数字ですが、アウトサイドシュートの成功率が伸びれば、NBAでもフロアをストレッチ出来るコンボフォワードに進化するはず。

複数のポジションをカバーするディフェンス

オフェンスでは発展途上のアチュワだが、ディフェンスでは既に高い水準に。

ウイングスパン、スタンディングリーチ共にパワーフォワードの平均以上にありながら、高い運動能力を誇り、複数のポジションをカバーする高さ、強さ、速さを誇ります。アチュワのディフェンスでの存在感は数字にも表れており、メンフィス大ではチームの主力でベストのディフェンスレーティングを残しました。

スモールラインナップでのセンターとしても高さは十分ですが、体重は100キロ強ほどの様なので、重さが少し足りないかなと。

プレー歴が浅いこともあり、NBA入り当初はシステムの習得に時間が掛かる可能性はありますが、NBAレベルでも優れたディフェンシブプレーヤーに成長する為の身体的ツールは全て備えています。

予想指名順位はロッタリー内

プレー歴が浅い事もあり、ウイングプレーヤーとしては粗削りですが、フィジカルはNBAでプレーする準備が出来ています。スティール、ブロック共に1試合平均1本を超え、リバウンドも平均2桁。

インサイドを守る高さとウイングをカバーする機動力を併せ持ち、ディフェンスでは即貢献が見込める選手でしょう。

今の所、彼の最大の魅力はクイックネスやモーター、機動力といった身体的な部分。スキルセットを洗練させる必要はありますが、今年のドラフトの層が薄い事もあり、アチュワはロッタリー内で指名を受ける可能性が高いでしょう。

仕上がれば、フランチャイズプレーヤーまではいかなくとも、チームの2~3番手への成長が期待出来ます。