今年のルーキーは豊作だったのだろうか?


日本人バスケットボールプレーヤー、八村塁が2019年のNBAドラフトで日本人史上初となる1巡目指名を受け、2019-2020シーズンのオールルーキー2ndチームにも選出。2019-2020シーズンは日本バスケ界にとって歴史的なシーズンとなりました。

NBA入り前のカレッジ/高校時代からその名を世界中に轟かせてきたザイオン・ウィリアムソンをはじめ、即戦力として活躍したプレーヤーが多く、今年のルーキー達は"豊作"と評されます。

確かに、感覚的には"豊作"と思える今年のルーキーですが、実際にはどうだったのでしょうか?過去5年のルーキー達のスタッツを見てみます。

※スタッツだけで豊作が判断出来るわけではないと思いますが...

スタッツ

では早速2015-2016シーズンから2019-2020シーズンまでのルーキーのスタッツを見ていきましょう。

スタッツは下記の2つの条件を満たす選手のみを並べています。
  • 出場試合数40試合以上
  • 平均10得点以上
この条件を満たすプレーヤーの出場試合数、平均出場時間、平均得点、FG成功率、3PT成功率、FT成功率、平均リバウンド、平均アシストをまとめています。

2015-2016

PLAYERGPMINPTSFG%3P%FT%REBAST
Karl-Anthony Towns8232.018.354.234.181.110.52.0
Jahlil Okafor5330.017.550.816.768.67.01.2
Kristaps Porzingis7228.414.342.133.383.87.31.3
Devin Booker7627.713.842.334.384.02.52.6
D'Angelo Russell8028.213.241.035.173.73.43.3
Emmanuel Mudiay6830.412.836.431.967.03.45.5
Myles Turner6022.810.349.821.472.75.50.7
Nikola Jokic8021.710.051.233.381.17.02.4

2016-2017

PLAYERGPMINPTSFG%3P%FT%REBAST
Dario Saric8126.312.841.131.178.26.32.2
Buddy Hield8223.010.642.639.184.23.31.5
Malcolm Brogdon7526.410.245.740.486.52.84.2
Yogi Ferrell4626.010.040.638.683.12.43.7

2017-2018

PLAYERGPMINPTSFG%3P%FT%REBAST
Donovan Mitchell7933.420.543.734.080.53.73.7
Kyle Kuzma7731.216.145.036.670.76.31.8
Ben Simmons8133.715.854.50.056.08.18.2
Lauri Markkanen6829.715.243.436.284.37.51.2
Dennis Smith Jr.6929.715.239.531.369.43.85.2
Jayson Tatum8030.513.947.543.482.65.01.6
Josh Jackson7725.413.141.726.363.44.61.5
Bogdan Bogdanovic7827.911.844.639.284.02.93.3
De'Aaron Fox7327.711.641.230.772.32.84.4
Dillon Brooks8228.711.044.035.674.73.11.6
John Collins7424.110.557.634.071.57.31.3
Lonzo Ball5234.210.236.030.545.16.97.2

2018-2019

PLAYERGPMINPTSFG%3P%FT%REBAST
Luka Doncic7232.221.242.732.771.37.86.0
Trae Young8130.919.141.832.482.93.78.1
Collin Sexton8231.816.743.040.283.92.93.0
Deandre Ayton7130.716.358.50.074.610.31.8
Marvin Bagley III6225.314.950.431.369.17.61.0
Jaren Jackson Jr.5826.113.850.635.976.64.71.1
Kevin Knox II7528.812.837.034.371.74.51.1
Allonzo Trier6422.810.944.839.480.33.11.9
Shai Gilgeous-Alexander8226.510.847.636.780.02.83.3
Wendell Carter Jr.4425.210.348.518.879.57.01.8

2019-2020

PLAYERGPMINPTSFG%3P%FT%REBAST
Ja Morant6731.017.847.733.577.63.97.3
Kendrick Nunn6729.315.343.935.085.02.73.3
RJ Barrett5630.414.340.232.061.45.02.6
Eric Paschall6027.614.049.728.777.44.62.1
Rui Hachimura4830.113.546.628.782.96.11.8
Tyler Herro5527.413.542.838.987.04.12.2
Coby White6525.813.239.435.479.13.52.7
De'Andre Hunter6332.012.341.035.576.44.51.8
Darius Garland5930.912.340.135.587.51.93.9
P.J. Washington5830.312.245.537.464.75.42.1
Brandon Clarke5822.412.161.835.975.95.91.4
Cam Reddish5826.710.538.433.280.23.71.5
Kevin Porter Jr.5023.210.044.233.572.33.22.2

平均2桁得点の人数は過去5年で1位

2019-2020シーズンのルーキーは出場試合数40試合以上かつ平均2桁得点のプレーヤーが13人と過去5シーズンで最多(2018-2019:10人、2017-2018:12人、2016-2017:4人、2015-2016:8人)。

得点面でチームに貢献したルーキーが近年で最も多く、この点を見れば、2019-2020シーズンのルーキーは"豊作"だったと言えるでしょう。

一方でリバウンドやアシストの数でみると、平均6リバウンド以上は1人(2018-2019:4人、2017-2018:5人、2016-2017:1人、2015-2016:4人)。

平均5アシスト以上も1人(2018-2019:2人、2017-2018:3人、2016-2017:0人、2015-2016:1人)で特別優れているとは言えません。

既に得点で貢献しているプレーヤーは多いものの、その他の面で存在感を発揮出来ているプレーヤーは限られます。

貢献度で見ると?

続いて、ルーキー達の貢献度を見ていきましょう。

プレーヤーの試合への貢献度を表す指標の1つにPIE(=Player Impact Estimate)というスタッツがあります。※計算式など詳細はコチラをどうぞ。

PIEは出場時間中に起きた事象にプレーヤーがどれだけ関わっているかを表し、この数字が10を超えるプレーヤーは貢献度の高いプレーヤーと考える事が出来ます。

過去5シーズンで
  • 出場試合数40試合以上
  • PIE10以上
を満たしたルーキーは下記の通りです。

2015-2016

PLAYERGPMINPIE
1Boban Marjanovic549.418.1
2Karl-Anthony Towns823215.4
3Nikola Jokic8021.714.5
4Jahlil Okafor533011.7
5T.J. McConnell8119.811.6
6Kristaps Porzingis7228.411.3
7Myles Turner6022.810.5

2016-2017

PLAYERGPMINPIE
1Willy Hernangomez7218.413.3
2Dario Saric8126.310.3

2017-2018

PLAYERGPMINPIE
1Ben Simmons8133.715.4
2John Collins7424.111.9
3Lauri Markkanen6829.711.4
4Bam Adebayo6919.811.1
5Jordan Bell5714.211.1
6Donovan Mitchell7933.410.9
7Khem Birch4213.810.9
8Jayson Tatum8030.510.8
9Jarrett Allen722010.8
10Daniel Theis6314.910.5
11Kyle Kuzma7731.210.4

2018-2019

PLAYERGPMINPIE
1Luka Doncic7232.214.9
2Deandre Ayton7130.713.9
3Marvin Bagley III6225.312.4
4Trae Young8130.911.9
5Mitchell Robinson6620.611.5
6Mo Bamba4716.310.3
7Jaren Jackson Jr.5826.110.0
8Wendell Carter Jr.4425.210.0

2019-2020

PLAYERGPMINPIE
1Brandon Clarke5822.413.9
2Ja Morant6731.013.0
3Michael Porter Jr.5516.412.3
4Terence Davis7216.810.1

2019-2020シーズンに出場試合数40試合以上、PIE10以上を満たしたルーキーの数は4人のみ。(2018-2019:8人、2017-2018:11人、2016-2017:2人、2015-2016:7人)

この点では2019-2020シーズンのルーキーが秀ででいるとは言えません。

PIEはリバウンド、アシスト等、総合的に数字を稼いでいる選手が高い数字を出す数字。

2019-2020シーズンでは、ヤニス・アデトクンボとレブロン・ジェームスといったオールラウンダーが高い数字を出しています。

過去5シーズンのルーキー達を見ると、インサイドプレーヤーが高い数字を出している傾向にあります。2019-2020シーズンに活躍したインサイドプレーヤーが少ないことが、PIE10以上のルーキーの数に影響しているのでしょう。

スタッツは各チームの状況による所も大きく、スタッツだけを見て一概に"豊作"と言うことは出来ませんが、今年のルーキーには得点面では一定以上の活躍しているプレーヤーが多く、今後の成長が楽しみであることは間違いなさそうです。

何故豊作のイメージが強いのだろうか?

"豊作"のイメージが強い要因として、得点面で活躍したルーキーの数が多かった事に加え、オールスター以降、それ以前より顕著な成長を見せたプレーヤーが目立った事も考えられます。

下記はオールスター以降、シーズン中断までの間に平均10得点以上を記録したルーキー達です。
※短期間の為、試合数に条件は付けていません。

PLAYERGPMINPTSFG%3P%FT%REBAST
Coby White1033.724.746.840.789.53.84.3
Zion Williamson1030.524.060.9100.064.05.42.0
Ja Morant1231.518.146.235.075.03.76.7
Eric Paschall1032.017.556.530.877.14.14.2
RJ Barrett1130.217.245.232.662.74.53.1
Kendrick Nunn1128.617.149.344.487.52.63.0
Cam Reddish1030.416.450.038.985.23.71.3
P.J. Washington1131.414.642.837.061.55.42.5
Jordan Poole926.814.149.534.865.42.24.3
Darius Garland634.713.345.939.1100.01.84.2
De'Andre Hunter1034.413.141.140.478.67.61.6
Rui Hachimura1231.912.845.738.985.16.42.1
Naz Reid1125.411.740.527.865.66.51.9
Ky Bowman528.011.052.216.783.34.42.6
Mychal Mulder729.111.038.830.875.03.31.1
Kevin Porter Jr.826.310.936.729.476.03.63.3
Brandon Clarke423.810.869.20.077.87.31.8
Cameron Johnson823.610.647.642.285.72.61.1

新型コロナウイルスの影響でシーズンが中断された為、試合数こそ少ないものの、コビー・ホワイト、エリック・パスカル、キャム・レディッシュ等が顕著に数字を伸ばしています。

また、シーズン再開後のバブルの中で平均10得点以上を挙げたルーキー達がコチラ。

PLAYERGPMINPTSFG%3P%FT%REBAST
Michael Porter Jr.733.322.055.142.293.18.61.6
Zion Williamson422.119.853.30.060.05.32.0
Ja Morant737.418.640.924.277.86.49.7
Tyler Herro828.517.350.537.8100.04.63.8
Keldon Johnson725.515.066.769.287.54.91.0
Cameron Johnson733.513.448.635.0100.06.32.1
Rui Hachimura632.813.337.835.779.26.32.7
Darius Bazley827.513.042.546.373.36.31.5
Brandon Clarke725.711.055.616.745.56.61.0
Jeremiah Martin514.711.050.033.378.61.22.8
Kendrick Nunn523.310.831.320.7100.02.42.0
Nigel Williams-Goss122.210.044.440.00.01.01.0

バブルの中では、マイケル・ポーターJrやケルドン・ジョンソンが大きなステップアップを見せています。

今季は新型コロナの影響により、シーズンが中断された特殊なシーズン。

スケジュールが区切られ、短期的なスパンで顕著な活躍を見せたルーキーが続出した事も、"豊作"のイメージの一因かもしれません。


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