次代のアイドル、ジェイレン・グリーン

Gリーグが始めた育成プログラムのメンバーを中心に構成されたチーム、Gリーグイグナイト。

彼等のシーズンもプレーオフ初戦敗退で幕を閉じたので、育成プログラム組のシーズンの振り返り。

今回は今季1番の推しメン、ジェイレン・グリーンを。

U17ワールドカップでMVP受賞し、ESPNランキングでは学年No1の座を獲得。

鳴り物入りでGリーグに進んだグリーンは期待に違わずリーディングスコアラーとしてイグナイトを牽引し、Gリーグでのラストゲームではキャリアハイの30得点。華々しくGリーグでのキャリアを締めくくった。

"ここぞ"という場面で活躍する世代屈指のアイドル候補のシーズンを振り返る。



ジェイレン・グリーン

ポジション:SG
所属:Gリーグイグナイト
生年月日:2002年2月9日 
登録身長:6フィート6インチ(198.1cm) 
出身:プロリフィックプレップ(カリフォルニア州)
ESPNランキング:1位(class of 2020)
主な受賞歴: SIオールアメリカンプレーヤーオブザイヤー(2020)/FIBA U17ワールドカップMVP(2018)

スタッツ

GPMINPTSFGMFGAFG%15:003PA3P%FTMFTAFT%OREBDREBREBASTTOVSTLBLKPF
153217.96.313.646.12.15.736.51.92.382.90.53.54.12.82.71.50.31.7
※Gリーグレギュラーシーズンでのスタッツ

ハイライト


Gリーグを席巻したジェイレン・グリーン

レギュラーシーズン平均17.9得点を記録し、スコアリングリーダーとしてイグナイトを牽引したジェイレン・グリーン。

プロの過密スケジュールの中、レギュラーシーズン全15試合にスターティングメンバ―として出場した"イグナイトの顔"とも呼べるプレーヤーだ。

平均17.9得点はGリーグ全体で19位と良い数字。得点効率にも優れ、TS%61.3%という数字はイグナイトの育成プログラム組メンバーの中ではブッチギリの数字だった。

グリーンのスコアリング能力で特に目を引いたのがリング周辺でのフィニッシュ能力。RESTRICTED AREA(ノーチャージエリア)でのFG成功率は73.8%と驚異的な成功率を叩き出した。

サイズ、フィジカルの強さでグリーンを上回り、ドラフト上位候補でチームメイトのジョナサン・クミンガでさえ同エリアでのFG成功率が61.2%である事からも、グリーンの決定力の高さがお分かり頂けるだろう。

フィジカルコンタクトに弱いにも関わらず、天性のボディバランスが有り、跳んでさえしまえばどんなタフショットでも沈めてしまう頼もしさが。

これは努力でどうにかなる物ではなく、持って生まれた才能だろう。

グリーンの様な跳躍力とクイックネスに優れるタイプはシューティングがお粗末という例も少なくないが、グリーンはシーズン通してFT成功率が80%を超え、既にシューターとしても優秀。

ドライブからの驚異的な決定力と、一度乗り始めたらどんなシュートでも決めてしまう高いシュート力を誇るグリーンは、今年のドラフト候補生の中で最も爆発的なスコアラーだろう。

グリーンのオフェンスでは、スコアラーとしての側面にフォーカスされる事が多いが、平均2.8アシストを記録し、ウイングとしては十分オールラウンダーとなれる素養を備えている事にも触れておこう。


Gリーグでの最終戦となった、プレーオフでの対ラプターズ905戦ではキャリアハイの30得点を叩き出し、スコアラーとしてのポテンシャルの高さを証明した。

プレーオフという重要な試合でキャリア1のパフォーマンスを見せてくれるのが、アイドル性の高いグリーンだ。

ディフェンスには大きな課題も

オフェンスではイグナイトを牽引したグリーンだが、ディフェンスには課題を残す。

チーム首位の1試合平均1.5スティールを記録し、シーズンが進むにつれオンボールディフェンスの集中力を増していったが、登録体重は80.7kgと華奢。

スピードではオフェンスに付いて行けても、パワーで押し切られてしまうシーンも見受けられた。

オフボールディフェンスではケアレスなミスも多く、マッチアップにイージーシュートを献上するシーンも。

グリーンのオンコート時のディフェンシブレーティングはオフコート時と比較して10.3も悪く、この数字はチームの主力で最低だった。

横のクイックネスには優れているので、フィジカル強化だけでもオンボールディフェンスは改善されるだろう。

良いコーチに巡り合い研鑽を積めば、標準以上のディフェンシブプレーヤーになれる身体的な素質はある。

爆発力のあるスコアラーと書いたが、それは逆に言えば安定感に欠けるという事。

ボールを貰えなければ存在感は途端に薄れてしまう。

これもシーズンを経て徐々に改善を見せたが、ボールへの執着心もエースとして十分とは言えず、チームのリーダーに成長する為には意識改革が必要だろう。

スター性抜群の時代のアイドル候補

これまで何度も書いてきたけれど、ジェイレン・グリーンは今年1番の推しメン。今年のドラフトでも上位5位以内での指名が濃厚だろう。

1位指名の鉄板であるオクラホマ州立大をケイド・カニングハムと比較するとグリーンには粗が目立ってしまうが、その分カニングハムをも上回るスター性や爆発力がグリーンの売り。

ボールを持てば"何かやってくれる"という期待感を抱かせてくれる特別な魅力を持つプレーヤーだ。

アスレティックで爆発力に優れ、絵になるグリーンのプレーはコービーやT-MAC等、2000年代初頭にNBAを席巻したスター達と同じ香りを感じさせる。

グリーンのプレーに覚える高揚感は、他のドラフト候補には無い魅力。それはプレースタイルこそ違えどラメロ・ボールを見て感じていたモノに近いかもしれない。

弱点も多いプレーヤーだが、夢を見ずにはいられないアイドル候補がジェイレン・グリーンだ。


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