希代のオールラウンダー、ジョナサン・クミンガ

徐々にドラフト予習を進めてますが、Gリーグのレギュラーシーズンが終わったので、Gリーグイグナイトの注目プレーヤー、ジョナサン・クミンガを。

イグナイトは現地時間3月8日からのプレーオフに駒を進めたけれど、クミンガは右ひざの痛みでレギュラーシーズンのラスト2試合を欠場。恐らくプレーオフも回避すると思うので、クミンガのGリーグでのシーズンを振り返る。


ジョナサン・クミンガ

ポジション:SF/PF 
所属:Gリーグイグナイト
生年月日:2002年10月6日 
登録身長:6フィート6インチ(198.1cm) 
出身校:パトリックスクール(ニュージャージー州) 
ESPNランキング:4位(class of 2020)
主な受賞歴: MaxPrepsナショナルソフォモアオブザイヤー(2019)

スタッツ

GPMINPTSFGMFGAFG%15:003PA3P%FTMFTAFT%OREBDREBREBASTTOVSTLBLKPF
1332.815.85.514.338.71.2524.62.33.762.51.267.22.72.610.82.1

ハイライト


学年変更からGリーグへ

コンゴ民主共和国出身のジョナサン・クミンガ。NBAプレーヤーのエマニュエル・ムディエイとは従兄弟との事。

2016年にバスケットボールの為にアメリカに渡ると、アンドリュー・ウィギンスやマイルス・ブリッジス等を輩出したハンティントンプレップ、カイリー・アービングの母校であるニュージャージー州のパトリックスクール等でプレーした。

2021年に高校を卒業予定の学年、class of 2021で学年No1にランクされるプレーヤーだったが、高校卒業を1年早めclass of 2020に学年変更。本来であれば1学年上のclass of 2020のプレーヤー達の中に入っても、学年4位と高い評価を受けた。

無論、多くの強豪大学からオファーを受け、彼の兄が在籍していたテキサス工科大への進学も予想されたが、Gリーグによる育成プログラムであるプロフェッショナルパスに進み、Gリーグイグナイトに加入した。

プロの中でもオールラウンドな才能を


若干18歳にしてプロの世界に飛び込んだクミンガ。2002年10月生まれのクミンガは、NBAドラフトの時点でも18歳と今年のドラフト候補の中でも若いプレーヤーだ。

18歳の若さでプロの中でプレーする事には懸念もあったが、クミンガは屈強なプレーヤーがひしめくGリーグで躍動。デビューから3試合で平均22得点7リバウンド3アシストと、オールラウンドな才能を遺憾なく発揮して見せた。

その後は疲労からか少し息切れを起こすも、レギュラーシーズン15試合中13試合に出場し、平均15.8得点7.2リバウンド2.7アシストとドラフト上位指名候補の名に恥じない数字を残した。

現時点でのクミンガの強みはパワフルなドライブと広い視野だろう。

恵まれたサイズと仕上がったフィジカル、爆発的な運動能力、巧みなハンドリングを備えるクミンガのドライブはGリーグの中でも圧巻だった。自分よりスピードで劣るプレーヤー相手はトップギアでぶち抜き、スピードでは抜きされないプレーヤー相手にはフィジカルでねじ込むかタイミングを外しファールをもぎ取った。

運動能力とフィジカルで圧倒する直線的なドライブだけでなく、横の方向転換やディフェンスのタイミングを外すスキルをこの若さで備えている事は特筆に値する。

また、シーズン前の予想を遥かに上回っていたのがクミンガの視野の広さとパスセンス。ドライブでディフェンスがカバーによると、瞬時の判断で的確なアシストを。単に空いているスペースにパスを通すのでは無く、タイミングの取り方、ディフェンスの注意の惹き方にも非凡なセンスがあった。

ディフェンスでもポテンシャルが評価されているが、現時点で優れたディフェンシブプレーヤーというレベルではない。しかし、1~4番までをカバーするサイズと運動能力があり、ディフェンスでも支配的なプレーヤーに成長する身体的なツールは揃っている。

フィニッシュには課題を残す

Gリーグでオールラウンドな活躍を残したクミンガだったが、18歳の彼には当然課題も。

シュート精度はクミンガの明確な改善事項で、FG成功率38.7%、3PT成功率24.6%、FT成功率62.5%という数字を見れば、アウトサイドシュートを苦手としている事は一目瞭然だろう。

アウトサイドシュートを苦手とする能力系のウイングは少なくなく、18歳という年齢を考えても、適格な指導者との出会い、今後の努力で成長が期待出来る。

ちょっと気になるのはリング周りでのシュートタッチ。ドライブ自体には目を見張るものがあり、フィニッシュまで持ち込む事が出来るが、シュートを決めきる決定力には欠ける。

シュートセレクションにも難有りで、プレーの好不調の波も激しいが、18歳という年齢を考えれば当然の事だろう。

攻守に非凡なポテンシャルを誇るオールラウンダー

18歳という事で、粗削りな面も少なくはないジョナサン・クミンガだが、今年も高校でプレーしていたはずだった彼がプロの中で堂々と渡り合った時点で驚嘆に値する。

"素材型"と評される事も多いが、18歳という年齢からすれば十分以上にオールラウンドに仕上がっている。そう考えると、ここから年を重ねる中で完成されたパッケージになる可能性は高いのでは?

クミンガの才能はGリーグの中でも際立ち、"一回り大きくしたジェイレン・ブラウン"の様だった。(勿論今のブラウンでは無く、ドラフト時点でのブラウンですが。)

両フォワードポジションでプレー出来るクミンガだが、シュート力の成長如何では、ベストポジションは運動能力とスキルでマッチアップと差を付ける事の出来るPFかもしれない。

今後の成長次第ではあるけれど、スコアリングよりも万能なスキルが売りのクミンガはバットマンとロビンであれば、ロビンな気がしている。攻守に非凡なポテンシャルを誇るクミンガは、チームのNo2に最適なプレーヤー。課題のフィニッシュ力が解決されなくとも、エースを支える相棒として活躍するだろう。

僕は今年のドラフト候補生を近年で1番の当たりと言い続けてきたけれど、その中でもクミンガはTOP5での指名が決定的で、指名順位はチームのニーズ次第かなと。


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