国際大会に"暗黙のルール"は存在しないのでは?という話
フィリピン、インドネシア、日本の3か国共催で開かれているFIBAバスケットボールワールドカップ。
日本代表は最終戦でカーボベルデ代表に見事勝利し、2024年のパリ五輪への出場権を獲得した。
さて、その試合に関してX(旧Twitter)上で、"日本代表は最後のオフェンスを何故攻めなかったのか?"
という主旨の投稿があり、それに対して
"暗黙のルールだから"
という回答が見受けられた。
確かに、アメリカの文化として大量得点差が付いた試合では、最後のオフェンスを攻めに行かない、といった"暗黙のルール"が存在する。
しかしながら、それって国際大会でも適用される様な世界共通の常識なのだろうか?という疑問が。
という事で、既に上位ラウンド進出が断たれ、得失点差も大きく関係してこないであろう(※認識誤ってたらすみません)17位-32位決定戦、各チーム最終戦がどの様に終わったのかを調べてみた。
20点差リードの南スーダンが残り8秒でオフェンスリバウンドを取り、最後のポゼッションを獲得。
そのまま試合を終えるのではなく、コーナーからの3PTを沈め、101-78とリードを広げて試合を終了。
この試合の結末は"暗黙のルール"に当てはまるものでは無さそうだ。
19点リードのフィリピンが試合時間残り4秒で中国からスティールでボールを奪取。
そこから速攻で3PTを放ち外れるも、更にはオフェンスリバウンドをティップオフでねじ込み、21点差にリードを広げ試合終了。
これまた"暗黙のルール"とは合致しない形で試合終了を迎えた。
試合時間残り0.4秒で2点リードのニュージーランドFTを2本獲得。
ニュージーランドはこれを2本とも外すも、そこで試合終了。
この試合の場合は得点差も無かったので、いずれにしろ"暗黙のルール"が発動するケースでは無いですね。
残り15秒で10点リードのメキシコがヨルダンからスティール。
そのまま速攻に持ち込み、3PTを沈めリードを13点差に広げる。
"暗黙のルール"に従えば、メキシコがボールをキープをしたまま終了して良かった場面だったが、メキシコは積極的に得点を狙いに行った。
9点差でリードする日本代表がディフェンスリバウンドを奪うと、ボールをフロントコートに運ぶも、そのままオフェンスを展開せずに試合終了。
カーボベルデも特にファールゲームを狙う事は無く、日本がディフェンスリバウンドを奪った時点で試合終了の感も。
とは言え、上記の他国であれば、得点を狙いに行っていてもおかしくないシチュエーションだっただろう。
ベネズエラはほぼショットクロックを使い切り、ドライブから2点を決め、残り2.2秒15点差でフィンランドボールに。
ベネズエラが最後のシュートを決めた時点で両チーム共に試合終了モードに入り、そのままゲームセット。
10点リードのフランスが残り12秒にディフェンスリバウンドを奪い、そのまま得点を狙う事無く試合終了。
この試合も両チーム共に試合終了モードに入り、そのままゲームセット。
残り5.5秒、6点リードのレバノンボールでハーフコートのスローインから試合再開。
レバノンはスローインからアグレッシブに得点を狙い、ドライブからのレイアップで8点差に広げ試合終了。
この試合も"暗黙のルール"には従わない形で試合を終えた。
あくまで、"国際大会では"という話であり、"暗黙のルール"そのものを否定している訳では無いが、世界共通の常識というよりも、"アメリカバスケのローカルルール"位に捉えておいた方が適切かもしれない。
ワールドカップでは得失点差も絡んでましたっけ?
返信削除カーボベルデとのゲームではすでにオリンピック出場が確定していたので、無理に攻めなかったような。
順位には得失点差も関係しますね。ただ今回例にあげた試合は全て各チームの最終戦かつ、1次リーグの下位チームなので、得失点差に強く拘りは無かったのではと。
削除カーボベルデ戦ですが、河村君のリバウンド時点でほぼ勝利確定、ファールゲームも無く実質的に試合が終わったというだけで、"暗黙のルール"を意識した訳ではないと思っています。
なるほどうありがとうございます。
削除よく確認せずにコメント失礼しました。
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返信削除いつも楽しく読ませていただいております。
返信削除ワールドカップでは、オリンピックの出場権に加えて、クオリファイイング トーナメント(世界最終予選)の出場権も掛かっています。
開催国のフランスおよび日本など出場権を獲得した国を除いた「アフリカ、アメリカ大陸、アジア・オセアニアの各地域の最上位チーム+全体の上位16チーム」の合計19チームがクオリファイイング トーナメントへの出場権を獲得することになります。
そのため、17-32位決定戦に回った国にとっては、今回のワールドカップの順位決定トーナメントがない中での17位以下の順位決定ロジックにおいては、グループ内および全体(大陸内)での得失点差が非常に重要になってきます。
https://www.fiba.basketball/jp/basketballworldcup/2023/competition-system#|tab=element_2_3
日本のカーボベルデ戦ように、点差に関係なく勝てば出場権獲得など得失点差が関係ないことが明確な試合は別ですが、他の試合の結果(勝敗/得失点差)も影響するようなケースでは少しでも得失点差をプラスにしておくこと(マイナスを減らしておくこと)が非常に重要になりますので、そのゲームにおいてはガベージタイムという概念はなくなります。
最終戦8試合の状況がそれに当たるかまでの検証はしていませんが、最後までオフェンスを行った国は順位に得失点差が影響する可能性があるため暗黙のルールの適用ケース(ガベージタイム)に当たらなかったのではないかと思いました。
日本は、第4戦までは最後まで攻め続けましたが、最終戦では勝てば得失点差が関係なかったため、9点差でのラストオフェンスでは暗黙のルールでシュートに行かなかったと理解しています。
通りすがりのバスケ好きさんと同感です。
削除五輪選考において得失点差がなにかと影響するので、1点でも±しておこうというのは今大会の特徴だったと思います。
最終予選へ回れるかどうかなど、他チームの得失点差も影響があるので、どのチームも最後まで積み重ねていたと思います。
私の理解が誤っておりましたら恐縮です。
削除サウススーダンに至っては、アフリカ枠でのオリンピック出場権の獲得が残されていましたが、フィリピンやメキシコに至っては何点差で勝とうともオリンピック出場権の可能性は無く、何点差で敗けようとも最終予選への出場は決定していたとの認識です。
また、NBAでルディ・ゴベアが暗黙のルールを破った際には
"I've been taught to play basketball until the last second,"(最後までプレーするべきと教わって来た)
とのコメントを残しています。
https://www.ksl.com/article/50536484/did-rudy-gobert-break-an-unwritten-rule-of-basketball-in-win-over-jazz
逆にお伺いをしたいのですが、皆さんが"暗黙のルール"を世界共通と思われているのには、アメリカを除きヨーロッパやアフリカ、アジアでも"暗黙のルール"を破り、問題になった例をご存知との事なのでしょうか?
ご認識の通り、南スーダンは遅れて試合開始のエジプトが勝つと得失点差でオリンピックが決まる状況でしたので、とにかく1点でも多くということだったと思います。
削除一方で最終予選の出場権については、多少細かいことを省くと27位以内に入る必要がありましたが、確かにボーダーラインではないチームが最後までスコアを狙っていたのもありましたね。
私も"暗黙のルール"が世界各国全てに漏れなく浸透しているとまでは思っていないのですが、「国際大会には適用されない」...かとなると、日本の最終戦しかり、アメリカ以外でも昨日のセルビア-スロベニアの両チーム、アメリカと対戦したイタリアも、ラスト30秒を切ったらオフェンスはスコアを狙わず、それに呼応してディフェンスもしない"暗黙のルール"でタイムアップを迎えていましたので「"暗黙のルール"は国際試合でも適用されている」と思っている次第です。
二次ラウンドでも僅差の試合以外では残り24秒でリードしている状態でのショットはなかったと思いますので、少なくともバスケットボールにおける強豪国の間ではスタンダードになっており、そこを目指すからには則っておくのが良いということでしょうか。
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