2年目のRJ・バレットには期待しかないという話

タイトル通りの単純なお話。

ニューヨークニックスに所属するRJ・バレットは2019年のドラフトで1巡目3位指名を受けNBA入り。オールルーキーチーム入りを逃した昨季の結果は、3位指名のルーキーとしては期待外れだったかもしれません。

では何故僕が彼に期待をしているかと言えば、それは高校、カレッジでの彼を知っているからでしょう。

今回は彼のNBA入りまでのキャリアを振り返ります。



入学早々全米No1チームのエースに


元カナダ代表の父を持ち、ゴッドファーザーはあのスティーブ・ナッシュという、カナダバスケットボール界のサラブレッドが、フロリダの強豪、モントバードアカデミーに入学したのは2015-2016シーズンの事。

当時のモントバードアカデミーは、ディアンジェロ・ラッセルやベン・シモンズの活躍で、実質的な全米高校No1決定戦、DICK'S Nationals(現在はスポンサーが変わってGEICO National's)を3連覇中。押しも押されぬ全米No1チームでした。

ラッセル、シモンズ共に卒業済みではありましたが、このシーズンのモントバードアカデミーにも、ブルーノ・フェルナンド、アンフェニー・サイモンズ、EJ・モンゴメリーと未来のNBAプレーヤーが。

新入生であれば、出場時間を得ることすら困難である状況で、バレットはいきなりエースの座を勝ち取ります。

注目を集めた対チノヒルズハイスクール戦ではチームハイの31得点。

新入生とは思えない卓越したスコアリングスキルで、当時の高校を代表したプレーヤーのロンゾ・ボールと遜色のないパフォーマンスを見せ、一躍その名を全米に轟かせます。

シーズン無敗で全米王者に


2016-2017シーズンには、エースとしてモントバードアカデミーをDick's Nationals準優勝に牽引。

既に高校バスケ界を代表するプレーヤーに成長していたバレットは2017-2018シーズンを前に、学年を変更し、カレッジへの1年早める事を決断します。

高校最後のシーズン、バレットの周囲には同じくカナダ出身の司令塔であるアンドリュー・ネンバード、得点力の高いマイク・デボー、堅実なビッグマンのフィリップ・ペトルセフと充実のサポーティングキャストが。

これだけのメンバーが揃ったモントバードアアカデミーは、下馬評通りに連勝街道を突き進み、GEICO National'sの決勝ではバーノン・キャリーJrとスコッティ・バーンズを擁したユニバーシティスクールに快勝。

35勝0敗のシーズン無敗で全米王者に輝き、これ以上無い形で高校でのキャリアを締めくくります。

これだけの活躍をしたのですから、バレットがシーズン終了後にネイスミス賞やゲータレード賞といった個人賞を総なめにした事には触れるまでも無いでしょう。

高校を卒業したバレットは、アメリカバスケットボールエリートの王道、デューク大へと進みます。

USA代表を撃破し世界王者に


カレッジに移る前に、ナショナルチームでの活躍についても。

2017年の夏、バレットはカナダ代表のメンバーとしてエジプトで開催されたFIBA U19ワールドカップに出場。

予選ラウンド2位で決勝トーナメントに進んだカナダ代表は、準決勝で優勝候補筆頭のUSA代表と対戦。当時のUSA代表はPJ・ワシントン、キャメロン・レディッシュ、ペイトン・プリチャード等、未来のNBAプレーヤー達で構成されるスター軍団でした。

このUSA代表を相手取り、バレットは38得点13リバウンド5アシストと彼のキャリアの中でもベストゲームと呼べるほどの圧巻のパフォーマンスで大番狂わせを演出。99-87でUSA代表を退けます。

カナダ代表は勢いそのままに決勝ではイタリア代表を一蹴。カナダ史上初のU19ワールドカップ制覇を成し遂げ、バレットは大会MVP、得点王を受賞しています。

デューク大でもエースに君臨 


2018年にデューク大に入学したバレット。

この年のデューク大にはザイオン・ウィリアムソン、キャメロン・レディッシュ、バレットとESPNランキング上位3人が揃って入学。トレー・ジョーンズと共に、フレッシュマンカルテットを形成します。

シーズン開幕戦の相手は、デューク大と同じく多くのNBA候補生を擁するケンタッキー大。

接戦が予想されたこの試合では、バレットは33得点で所属カンファレンスのフレッシュマンデビュー戦記録を塗り替える圧巻の活躍で、衝撃的なデビューを飾ります。

デューク大はその後も快調に勝利を重ね、第1シードでNCAAトーナメントに出場。Final4進出を目前に、カシアス・ウィンストン擁するミシガン州立大に惜敗。

コンセンサス1stチームオールアメリカン、ジェリー・ウェスト賞に選出され、カレッジトップレベルのウイングである事を証明したバレットは、シーズン終了後にアーリーエントリーを宣言。

2019年のNBAドラフトで1巡目3位指名を受け、ニューヨークニックスに入団します。

王道を歩んできた生粋のエース

さてっ、冒頭の話に戻ります。

"何故僕がバレットに期待するのか"

バレットはバスケットボールエリートが溢れるNBAの中でも、跳び抜けたエリート街道を歩み、その全てでエースに君臨してきたプレーヤーです。

デューク大では、ザイオン、レディッシュと、バレットに引けを取らないプレーヤー2人とプレーしましたが、チームの絶対的エースはバレット。

勝敗を決する場面で常にボールを求め、強引な1対1を展開した彼のスタイルは"無謀"にも見えました。事実、対ゴンザガ大戦や、カレッジ最後となった対ミシガン州立大戦では、バレットの"ヒーローボール"の結果、敗戦を喫しています。

しかし、バレットはスタイルを曲げません。僕はそんな"傲慢"とも呼べる気持ちの強さに夢を見てしまうのでしょう。きっと、そんなメンタルの持ち主にしか辿り着けない境地があるのではないかと。

だから僕は、今年のバレットが世間の期待を大きく上回る活躍をしてくれることを信じて止みません。高校、カレッジバスケを支配してきた世代屈指のエリートは、きっとNBAの舞台でも花開くはずです。

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