高校No1プレーヤー、ケイド・カニングハムはオクラホマ州立大へ

残念ながら今季のカレッジバスケも新型コロナウイルスの蔓延により急に終わりを迎えてしまった。マーチマッドネスの無い春は味気ないけれど、気分を切り替え、来季に向けて有望フレッシュマンまとめを。

初回は今季の高校バスケを代表する選手、ケイド・カニングハム。推しメンのジェイレン・グリーンからにしようかなとも思ったけれど、進学先はまだ未定だし、今季の高校バスケ界を代表する選手はカニングハムをおいて他にいないかなと。

所属校のモントバーデアカデミーをシーズン無敗に牽引し、高校バスケの年間最優秀選手に贈られるネイスミス賞も受賞。現時点での完成度では、高校バスケ界で最も優れる選手はカニングハムで間違いないでしょう。


今季注目のフレッシュマンについてはこちらも是非。


プロフィール

氏名ケイド・カニングハム
カレッジオクラホマ州立大
ESPN
ランキング
2位(2020)
生年月日2001年9月25日
ポジションPG
出身校モントバーデアカデミー
(フロリダ州)
主な個人賞ネイスミス最優秀選手賞
Max Preps最優秀選手賞
マクドナルドオールアメリカン
特記事項ビーガンとして知られている。
兄はオクラホマ州立大でコーチングスタッフを務めるキャネン・カニングハム。
長所・NBAレベルでも稀な純正大型ガード
・穴の無いオフェンススキル
・サイズを利したボールマンディフェンス
懸念事項・強いて言えばクイックネスに欠ける

身体測定結果

靴有身長(cm)裸足身長(cm)体重(kg)ウイングスパン(cm)スタンディング
リーチ(cm)
備考
198.1-98.5214.0-2019Nike Academyでの数値

ハイライト

モントバードアカデミーで才能が開花

テキサス州アーリントン出身のカニングハム。高校のソフォモアのシーズンまでは、地元のボウイーハイスクールでプレーしています。

ジュニアのシーズンを前にフロリダ州の強豪、モントバードアカデミーに転校します。
モントバードアカデミーは過去、ディアンジェロ・ラッセル、ベン・シモンズ、RJ・バレット等を輩出。オールランダーの育成に定評のあるチームです。

ここでカニングハムは彼のオールラウンドなプレーに更に磨きを掛け、学年トッププレーヤーへの階段を駆け上がります。

2019年夏には、Nike主催のAAUリーグでシーズンをMVPを受賞。U19のUSA代表にも選出され、世界制覇も経験し、シニアのシーズンを前に、学年トッププレーヤーの1人としての地位を確立します。

高校シニアのシーズンには、モントバードアカデミーに、スコッティ・バーンズとデイロン・シャープという2人の強力なインサイドプレーヤーが加入。カニングハム、バーンズ、シャープの3人を中心に、モントバードアカデミーは”史上最強”とも呼ばれる程の圧倒的な強さでシーズン無敗を達成しました。

カニングハムはこれまでの"素材型の大型ポイントガード"とは異なり、サイズ、フィジカル、技術、IQ、経験の全てを備えた完成された司令塔。年々その弱点を埋め、高校生が苦手としがちなアウトサイドシュートや、ディフェンスにおいても穴はありません。

成長の陰に兄の存在



カニングハムの成長を語る上で、外せないのが彼の兄、キャネン・カニングハムの存在でしょう。

キャネンもカレッジでバスケットボールをプレーしたプレーヤーで、4年間プレーしたSMUではNBAでアレン・アイバーソンを育てた名将ラリー・ブラウンに師事。カレッジ卒業後は1シーズン海外のプロチームでプレーし、コーチに転向しています。

2018-2019シーズンはマイク・ダンリービーSrがHCを務めるテュレーン大でビデオ部門を担当し、今季からはオクラホマ州立大(OKST)のアシスタントコーチに。

カニングハムが決して強豪とは言えないオクラホマ州立大への進学を決めたのも、キャネンの存在があったからというのは、言うまでも無いでしょう。

ちなみに、有望選手獲得の為に親族をコーチングスタッフに迎え入れるのはよくある手法。マイケル・ポーターJrもカニングハムと同学年のスター、エバン・モーブリーもその手法によって進学先を決めています。

キャネンはカニングハムがジュニアになる2018年のシーズンに、彼のAAUのコーチを務めました。

通常、AAUでは実力のある選手を実年齢よりも上の年齢のカテゴリーでプレーさせます。しかし、キャネンはカニングハムにPGとしてのゲームコントロールを学ばせる為、敢えて最上級生のチームではなく、U16のチームでプレーをさせました。

2019年のAAUでは、カニングハムの弱点であったアウトサイドからの得点にフォーカスさせ、得点能力を大幅に進化させ、カニングハムをより完成された大型PGへと育てました。

高校生とは思えない、成熟したプレーを見せ、キャネンの育成方針が間違っていない事を証明しています。

カニングハムの成長の過程において、名門であるモントバーデアカデミーへの転校も大きな転機である事は事実ですが、彼が大型PGとなった裏には、兄の育成方針があった事を忘れてはいけません。

オクラホマ州立大の命運を握る

カニングハムの進学先であるオクラホマ州立大は、カンザス大やベイラー大等の強豪がひしめくカンファレンス、Big 12に所属し、今季はカンファレンスゲームでの成績7勝11敗でカンファレンス7位。

2017年を最後にNCAAトーナメントからも遠ざかっています。また、今季もNCAAからの罰則により、NCAAトーナメントへの出場は望めません。

オクラホマ州立大の上級生にはU19でチームメイトだったアイザック・ライクリーが在籍し、カニングハムのAAUでのチームメイトも入学することで、例年以上のタレントが集まりますが、強豪ひしめくBig 12の上位校に対抗するには厳しいと言わざるを得ません。

モントバーデアカデミーの先輩であるベン・シモンズが強豪ではなかったLSUに進学し、NCAAトーナメント出場を逃した様に、カニングハムにとっても楽なシーズンとはならないでしょう。

チーム事情により、カニングハムには複数のポジションでのプレーが要求されるでしょうが、彼の万能性をフルに発揮することが出来れば、2021年のドラフト1位指名は現実となるでしょう。